車載システムにおける高信頼性と電力管理機能の実現 ――ソフトウェアにもフェイル・セーフの考えかたが必須
●信頼性の維持とコストの兼ね合いが問題
以上,車載システムに対するソフトウェアの高信頼性機能,電源管理機能を実現するための考えかたを紹介しました.このようなシステムでは,CPUは高性能化し,多様な機能が集積され,システム要求はどんどん複雑になっていきます.こうした点を考慮しながら,ほんとうの意味での信頼性の要求やタイム・スケジュール,開発コストに耐えうるしっかりとしたアーキテクチャを持っていないと,いたずらにコード数やテスト・ケースが増えてしまい,信頼性の維持に莫大な人員を投入しなければならなくなってしまいます.
マイクロカーネル構造を持つOSは,高信頼性機能と電力管理機能のフレームワークをモジュール化して,システムの構築をシンプルなものとしてくれます.今後,現状の問題を解決するために大きく貢献するアーキテクチャであると筆者は考えます.
参考・引用*文献
(1) QNX HAM ドキュメントページ http://www.qnx.com/developer/docs/momentics621_docs/ham_en/index.html
(2) Biscayne Platform 関連情報
http://www.comet-alliance.com/platform.htm
http://www.qnx.com/partners/partnerkits/pa_pk_biscayne_2.html
(3) QNX Biscayneプラットホームでのパワーマネージメント実装
http://www.qnx.com/resource/rs_pdf/rs_powerman.pdf
おかざわ・こういち
QNX ソフトウエア システムズ(株)
◆筆者プロフィール◆
岡澤幸一.シンクタンク系ソフトハウスでの組み込みシステムの開発,FA用パソコン・ボード・メーカでのリアルタイムOSのサポートを通して,リアルタイム・システムを実現する方法論に強く関心を持つ.特にハードとソフトとの境界面の新しい設計方法としてオブジェクト指向とSpecC等のハードウェア記述言語のソフトウェアとしての側面に着目している.現在,QNXソフトウエアシステムズ(http://www.qnx.co.jp/)テクニカル・マネージャ.