車載システムにおける高信頼性と電力管理機能の実現 ――ソフトウェアにもフェイル・セーフの考えかたが必須

岡澤幸一

tag: 組み込み

技術解説 2004年1月15日

 本開発用ボード上でのOS,CPU,SDRAMのパワー・モードの対応を表3に示します.ここで,OSのパワー・モードをCPUのパワー・モードとうまく対応づける必要があります.本開発用ボードでは,デバイスとしてCPU内蔵のシリアル・インターフェースとEthernetを制御しています.パワー・モードの遷移をまとめたステート・マシンを図8に示します.各状態はOSのパワー・モードで表現しています.消費電力はActive 1状態のフルパワーとShutdown状態の電力ゼロの間を遷移します.状態は,バッテリ電圧の低下や電源ON,リセット,タイマによるタイムアウトなどの条件によって遷移します.

〔表3〕 OSとCPUのパワー・モード対応表

OS(QNX)のパワー・モード例 CPU(SH-4)のパワー・モード CPUの状態 クロックの状態 SDRAMのリフレッシュ状態 ほかのモードへの遷移条件
Active 1 Normal 動作 動作 リフレッシュ ――
Active 2 Module Standby 停止 動作 リフレッシュ アプリケーション
Idle 1 Sleep 停止 動作 自己リフレッシュ 割り込み,リセット
Idle 2 Deep Sleep 停止 動作 自己リフレッシュ 割り込み,リセット
Idle 3 Software Standby 停止 停止 OFF 割り込み,リセット
Standby 1 Sleep 停止 動作 OFF 割り込み,リセット
Standby 2 Deep Sleep 停止 動作 OFF 割り込み,リセット
Standby 3 Software Standby 停止 停止 OFF 割り込み,リセット
Shutdown Hardware Standby 停止 停止 OFF 電源ON

〔図8〕電力制御のためのステート・マシン
各状態はOSのパワー・モードで表現している.
(a)ステート・マシン

f08_01.gif

(b)パワー・モード

状 態
パワー・モード
Active 1 CPUやデバイスのすべてが動作
Active 2 CPUとシリアル1は動作,シリアル2とEthernetは停止,CPUのModule Standbyに対応
Idle 1 CPUは停止(スリープ・モード),シリアル1は動作,シリアル2とEthernetは停止, SDRAMはリフレッシュ
Idle 2 CPUは停止(ディープ・スリープ・モード),シリアル1は動作,シリアル2と Ethernetは停止,SDRAMは自己リフレッシュ
Standby 1 CPUは停止(スリープ・モード),シリアル1は動作,シリアル2とEthernetは停止, DRAMはリフレッシュOFF
Standby 2 CPUは停止(ディープ・スリープ・モード),シリアル1は動作,シリアル2と Ethernetは停止,SDRAMはリフレッシュOFF
Shutdown CPU,シリアル1,2,Ethernetはすべて停止,SDRAMはリフレッシュOFF

(c)遷移条件

遷移条件
電源に関する条件
Low Battery バッテリの電圧低下
RTC タイマによるタイムアウト
Serial 1 Interrupt シリアル1の割り込み(受信)
Power On/Reset 電源ONまたはリセット
Power On 電源ON
組み込みキャッチアップ

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