車載システムにおける高信頼性と電力管理機能の実現 ――ソフトウェアにもフェイル・セーフの考えかたが必須
本開発用ボード上でのOS,CPU,SDRAMのパワー・モードの対応を表3に示します.ここで,OSのパワー・モードをCPUのパワー・モードとうまく対応づける必要があります.本開発用ボードでは,デバイスとしてCPU内蔵のシリアル・インターフェースとEthernetを制御しています.パワー・モードの遷移をまとめたステート・マシンを図8に示します.各状態はOSのパワー・モードで表現しています.消費電力はActive 1状態のフルパワーとShutdown状態の電力ゼロの間を遷移します.状態は,バッテリ電圧の低下や電源ON,リセット,タイマによるタイムアウトなどの条件によって遷移します.
〔表3〕 OSとCPUのパワー・モード対応表
OS(QNX)のパワー・モード例 | CPU(SH-4)のパワー・モード | CPUの状態 | クロックの状態 | SDRAMのリフレッシュ状態 | ほかのモードへの遷移条件 |
Active 1 | Normal | 動作 | 動作 | リフレッシュ | ―― |
Active 2 | Module Standby | 停止 | 動作 | リフレッシュ | アプリケーション |
Idle 1 | Sleep | 停止 | 動作 | 自己リフレッシュ | 割り込み,リセット |
Idle 2 | Deep Sleep | 停止 | 動作 | 自己リフレッシュ | 割り込み,リセット |
Idle 3 | Software Standby | 停止 | 停止 | OFF | 割り込み,リセット |
Standby 1 | Sleep | 停止 | 動作 | OFF | 割り込み,リセット |
Standby 2 | Deep Sleep | 停止 | 動作 | OFF | 割り込み,リセット |
Standby 3 | Software Standby | 停止 | 停止 | OFF | 割り込み,リセット |
Shutdown | Hardware Standby | 停止 | 停止 | OFF | 電源ON |
〔図8〕電力制御のためのステート・マシン
各状態はOSのパワー・モードで表現している.
(a)ステート・マシン
(b)パワー・モード
状 態
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パワー・モード
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Active 1 | CPUやデバイスのすべてが動作 |
Active 2 | CPUとシリアル1は動作,シリアル2とEthernetは停止,CPUのModule Standbyに対応 |
Idle 1 | CPUは停止(スリープ・モード),シリアル1は動作,シリアル2とEthernetは停止, SDRAMはリフレッシュ |
Idle 2 | CPUは停止(ディープ・スリープ・モード),シリアル1は動作,シリアル2と Ethernetは停止,SDRAMは自己リフレッシュ |
Standby 1 | CPUは停止(スリープ・モード),シリアル1は動作,シリアル2とEthernetは停止, DRAMはリフレッシュOFF |
Standby 2 | CPUは停止(ディープ・スリープ・モード),シリアル1は動作,シリアル2と Ethernetは停止,SDRAMはリフレッシュOFF |
Shutdown | CPU,シリアル1,2,Ethernetはすべて停止,SDRAMはリフレッシュOFF |
(c)遷移条件
遷移条件
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電源に関する条件
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Low Battery | バッテリの電圧低下 |
RTC | タイマによるタイムアウト |
Serial 1 Interrupt | シリアル1の割り込み(受信) |
Power On/Reset | 電源ONまたはリセット |
Power On | 電源ON |