固定小数点プログラム開発の手間を省ける組み込み機器向けDSPコアを開発 ──15人日でMP3デコーダを開発可能に
また,同じ機能を持つアプリケーションであっても,組み込まれる製品の中では異なる処理性能が期待されることがあります.例えば,MP3デコーダを例に取ると,MP3デコーダ単体の製品とMP3デコーダ+サラウンド機能を持つ製品では,DSPに要求される処理性能が異なります.このような機能の追加に対してはDSPの動作クロックを上げるという対処法が一般的ですが,最近では省電力化の観点から並列処理を採用するケースもあります.
そこで,本DSPコアでは細粒度並列処理方式を採用しています.その際に問題になるプログラムの再利用性については,図12のような方法で対処し,一度書いたアプリケーション・プログラムが,どのような並列度構成のDSPでも利用できるようにくふうしています.
〔図12〕プログラム再利用性の向上
一つのアセンブリ・プログラムから異なるハードウェア構成のDSPプログラムを生成する.もととなるアセンブリ・プログラムの一部をあらかじめ定義されたマクロで記述することにより対処する.
参考・引用*文献
(1) J. H. Wilkinson,Rounding Errors in Algebraic Processes,Dover Publications,1994(An unabridged and unaltered republication of the work first published by Prentice-Hall, in 1963).
(2) A. Chhabra and R. Iyer,"A Block Floating Point Implementation on the TMS320C54x DSP",Application Report(SPRA610),Texas Instruments,1999.
こばやし・しろう
旭化成(株) 情報技術研究所
shiro@ljk.ag.asahi-kasei.co.jp
◆筆者プロフィール◆
小林士朗.1987年旭化成入社.音声認識システム,携帯電話用音声CODEC/変復調,無線LAN,オーディオ関連のディジタル信号処理の組み込み用実装を担当.組み込み分野の「イヒ!」を目指して頑張っています.