ARM,Atomを引き合いに優位性を強調 ―― ARM Forum 2008
2008年10月22日,東京コンファレンスセンター品川(東京都品川区)にて,英国ARM社製品関連の技術コンファレンス「ARM Forum 2008」が開催された(写真1).ARM社のCTO(最高技術責任者)であるMike Muller氏が基調講演を行ったほか,特別講演として,米国IBM社 Semiconductor Research and Development CenterのJaga Jagannathan氏が,2008年9月29日に発表されたCommon Platformについて講演を行った.本コンファンレンスは事前登録制だったが,事前登録や基調講演,特別講演などは満席となる盛況ぶりだった.
[写真1] ARM Forum 2008のキーノート・スピーチ・トラックの様子
東京コンファレンスセンター品川(東京都品川区)にて開催された.
●ARMコアの普及と優位性をアピール
英国ARM社のCTOであるMike Muller氏は,「The Chief Technology Officer's View」と題した基調講演を行った(写真2).ARMコアを搭載したCPUが2007年第3四半期~2008年第2四半期の1年間で33億個出荷されたことや,CPUライセンスが553件,ライセンシが210社に上ったことなどを挙げ,ARMコアの普及が進んでいることをアピールした.また,ARMアーキテクチャの高性能製品シリーズであるCortex-A8を搭載したTexas Instruments社の「OMAP3440」とIntel社のAtomプロセッサを比較し,OMAP3440の方が1/4の消費電力,1/4のチップ・サイズ,1/8の基板面積を実現しているなど,組み込み機器用途におけるARMプロセッサの優位性を強調した.
また,ARM社はIBM社,シンガポールChartered Semiconductor Manufacturing社,韓国Samsung Electronics社と協業し,32nmおよび28nmプロセスを利用してSOCを開発することを発表した(詳細はARM社の発表資料を参照).現在は32nmプロセスのCortex-M3の研究開発を行っている段階だという.
[写真2] ARM社 CTOのMike Muller氏
●評価ボードや開発環境が並ぶ展示エリア
併設された展示エリアでは,ARM Connecter Communityメンバ企業やパートナ企業など約20社が関連製品を展示した(写真3).
[写真3] 展示エリアの様子
アイエーアール・システムズは,ARMデバイスを搭載した評価ボードとJTAG ICE,コンパイラなどの開発環境,サンプル・アプリケーションなどをセットにした「ARMソリューションキット」を展示した.評価ボードとして,東芝製Cortex-M3評価ボード(開発中)(写真4),NXP Semiconductors社製ARM7評価ボード(写真5),STMicroelectronics社製Cortex-M3評価ボードなどを展示していた.
[写真4] 東芝製Cortex-M3評価ボード(開発中)
[写真5] NXP Semiconductors社製ARM7評価ボード
アロー・ユーイーシー・ジャパンは,米国Luminary Micro社製のCortex-M3マイコン「Stellaris」を使用したデモンストレーションを行った(写真6).Luminary Micro社のステッピング・モータ評価キットを使い,タッチ・パネルでモータの回転数などを制御してみせた.
[写真6] Luminary Micro社製のCortex-M3マイコンを使ったデモンストレーション