固定小数点プログラム開発の手間を省ける組み込み機器向けDSPコアを開発 ──15人日でMP3デコーダを開発可能に
3.FitDSPの適用事例
階層的ブロック浮動小数点の採用により,アプリケーション・ソフトウェアのプログラム開発を簡素化できます.開発実績として,サラウンド・サウンド,MP3デコーダ,ノイズ・キャンセラ,エコー・キャンセラなどがあります.浮動小数点機能モデル完成以降の,プログラムの開発・検証期間を削減できました.また,信号処理品質も向上しました.以下に,筆者らの開発成果を紹介します.
●FitDSPの開発環境を用意
まず開発に用いた環境(開発プラットホーム)を簡単に説明します.
DSPの構成例を図8に示します.FPEC(Floating-Point Equivalent Computation)-Engineと示したブロックが階層的ブロック浮動小数点の実現に必要な指数の管理を行います.浮動小数点と固定小数点の間の変換は,このブロックからシフタを制御して実現します.ハードウェアは米国Altera社のFPGA「APEXファミリ」を用いて実現しました.FPECブロックの回路規模は約400LE(Logic Element)で,さほど大きくはありません.
〔図8〕 FitDSPの構成例
演算器の個数などは任意に指定できるが,ここでは1とした場合を示す.階層的ブロック浮動小数点を実現するFPEC(Floating-Point Equivalent Computation)ブロックの実装コストは,Altera社のFPGAで400LE程度である.