1トランジスタ構成の疑似SRAMは携帯機器分野で開花するか? ――バッテリ寿命,高集積度への市場要求に対する一つの答え
●非同期からページ・モード,そして同期へ
オーディオ/ビデオのストリーミング,インターネット・アクセスなどの機能を提供する携帯電話は,ベースバンドLSIとメモリの間で高速なデータ転送が必要となります.このため,高速ページ・モードまたはバースト・アクセスの機能を備えたメモリが,従来の非同期メモリに急速にとって代わってきています.
ページ・モードまたはバースト・モードを備えるメモリでは,シーケンシャル・アクセス(ランダム・アクセスと異なり,記録した順番にデータを読み出す)によって,より高い性能を確保することができます.ページ・モードまたはバースト・モードにおける初回のアクセスは,従来の非同期メモリと同じ時間がかかりますが,2回目以降のアクセスは非常に速くなります.
昔の携帯電話のRAMは,アクセス時間が70nsの非同期メモリでしたが,時間が経つとともにこの要件は55nsに変わりました.図5は,標準的な非同期アクセスを示しています注2.
注2;タイミングの詳細な説明については,Webサイト「http://www.cypress.com/support/」を参照.
〔図5〕非同期アクセス
tRCは読み出しサイクルを,tACEはチップ・イネーブルがアサートしてからデータが有効となるまでの時間を表している.CE(チップ・イネーブル),OE(アウトプット・イネーブル),WE(ライト・イネーブル),BHE/BLE(バイト・ハイ/バイト・ロー・イネーブル),I/O(データの入力/出力信号)は,疑似SRAMへのインターフェース・ピンである.CE,OE,BHE/BLEをアクティブにしたあとで,アドレスがラッチされデータが読み出される.1回目,2回目のアクセス時間にほとんど差はない.