1トランジスタ構成の疑似SRAMは携帯機器分野で開花するか? ――バッテリ寿命,高集積度への市場要求に対する一つの答え

Rajesh Manapat,Manoj Roge

tag: 組み込み 半導体

技術解説 2003年4月14日

 増え続ける処理速度への要求は,携帯電話のベースバンド・コントローラのリソースやメモリに負担をかけています.処理速度のほか,携帯電話にとってもっとも重要な問題の一つにバッテリ寿命があります.バッテリ寿命が長いほど,ユーザは長時間電話を使い続けることができます.

 携帯電話に使用されるメモリは,こうしたメモリ容量や端末の大きさ,バッテリ寿命に対する要求に応じて変化しています.従来のSRAMから集積度の高い低電圧SRAMへ,さらに高集積,高速,低電圧の1トランジスタ構成のSRAM(SRAMインターフェースを備えるDRAM.メモリ・セルが1個のトランジスタと1個のキャパシタによって構成される)へと進化しています.今日の携帯機器で用いられている6トランジスタ構成のSRAM(メモリ・セルが6個のトランジスタによって構成されている)では,次世代の携帯電話に必要なデータ量に対応できない可能性があります注1.増え続ける機能,向上するデータ転送速度,新しい通信規格の導入によって,さらに高い集積度を持つメモリが必要とされています.

 もともと,1トランジスタ構成のメモリはDRAMに分類されています.そのため,パソコンのメイン・メモリとして使用されてきました.現在では,低電圧に対応したアーキテクチャと設計手法によって,低消費電力の要求が厳しい用途に使用されています.また,1トランジスタ構成の疑似SRAMは,ワイヤレス機器に利用されるようになってきています.疑似SRAMは集積度が上がり,価格が下がっています.さらに,速度やピン配置についてSRAMと互換性があり,さまざまな低電源電圧のモードに対応しています.

 一般的な携帯電話には,揮発性と不揮発性の2種類のメモリが必要です(図2).通常,不揮発性メモリ(フラッシュ・メモリなど)には電話操作のためのプログラム・コードが保存されています.一方,揮発性メモリ(DRAM,SRAMなど)は電話の使用中にデータを保存するために使用されます.主にベースバンドLSIで効率的にデータを処理するため,こうしたメモリに対する要求はつねに変化しています.

 注1;6トランジスタ構成のSRAMで1トランジスタ構成のSRAMと同じ容量を実現すると,ダイ・サイズが約4倍になる.よって,大容量(設計ルール0.11μmで32Mビット以上)の6トランジスタ構成のSRAMの場合,コストを抑えることは難しい.次世代の携帯電話では,音声通信だけでなくデータ通信のサポートが必須である.データ通信のための機能を追加するため,大幅にメモリ容量を増やす必要がある.そのほか,電話にはPDA機能や音声多重,画像ダウンロードなどの機能も付加されるだろう.これらの機能についても大容量のメモリが必要となる.

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〔図2〕携帯電話のブロック図
一般的な携帯電話のブロック図を示す.通常,携帯電話には揮発性(SRAMやDRAMなど)と不揮発性(フラッシュ・メモリなど)の2種類のメモリが必要である.

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