つながるワイヤレス通信機器の開発手法(4) ――ハードウェアとソフトウェアを切り分ける
●ハード・エンジニアとソフト・エンジニアの特質と傾向
ハードウェア・エンジニアとソフトウェア・エンジニアでは,取り扱うものの性格上,ある傾向や特質に固まりやすい.ハードウェアとソフトウェア,この二つのことばが表しているように,硬く完結したものをベースに設計を行うのがハードウェア・エンジニア,柔らかく変化が多いものをベースに設計を行うのがソフトウェア・エンジニアと言えるようだ.もう少し詳細にそれぞれの特質を書くと表1のようになる.システム・アーキテクトは各エンジニアから意見を聞くとき,これらの特質をもとに意見が出されていることを認識する必要がある.
ここでは特に,ハードウェア・エンジニアが表1のような特質を持つ理由を以下に簡単に示す.
- ハードウェア,特にLSIの開発には数百万円から数千万円のコストと,数週間から数ヵ月の日数がかかる.
- ハードウェアは消費電流を抑え,回路規模の最小化を目的として設計される場合が多いので,汎用性,メンテナンス性を犠牲にすることが多々ある.
- 最適化を行っているためにその詳細な内部動作を理解しにくい場合が多い.
〔表1〕ハードウェア・エンジニアとソフトウェア・エンジニアの特質と傾向
ハードウェア・エンジニア
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ソフトウェア・エンジニア
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特 質 |
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傾 |
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