つながるワイヤレス通信機器の開発手法(4) ――ハードウェアとソフトウェアを切り分ける

太田博之

tag: 組み込み

技術解説 2003年2月14日

●ハード・エンジニアとソフト・エンジニアの特質と傾向

 ハードウェア・エンジニアとソフトウェア・エンジニアでは,取り扱うものの性格上,ある傾向や特質に固まりやすい.ハードウェアとソフトウェア,この二つのことばが表しているように,硬く完結したものをベースに設計を行うのがハードウェア・エンジニア,柔らかく変化が多いものをベースに設計を行うのがソフトウェア・エンジニアと言えるようだ.もう少し詳細にそれぞれの特質を書くと表1のようになる.システム・アーキテクトは各エンジニアから意見を聞くとき,これらの特質をもとに意見が出されていることを認識する必要がある.

 ここでは特に,ハードウェア・エンジニアが表1のような特質を持つ理由を以下に簡単に示す.

  • ハードウェア,特にLSIの開発には数百万円から数千万円のコストと,数週間から数ヵ月の日数がかかる.
  • ハードウェアは消費電流を抑え,回路規模の最小化を目的として設計される場合が多いので,汎用性,メンテナンス性を犠牲にすることが多々ある.
  • 最適化を行っているためにその詳細な内部動作を理解しにくい場合が多い.

〔表1〕ハードウェア・エンジニアとソフトウェア・エンジニアの特質と傾向

  
ハードウェア・エンジニア
ソフトウェア・エンジニア

  • 取り扱う対象はチップ,モジュールなど完結したもの
  • 扱う部品の中身を理解しない,理解しにくい
  • 外部インターフェースが物理的に固定されている(ピン,電圧など)
  • 設計物,または設計時に生成されたものを外部から持ってくる意識が少ない
  • 設計物,または設計時に生成されたものを外部へ持っていかない,共用しない
  • エンジニアリング・サンプルを何回も作り直さない.作りっぱなしが多い
  • LSIのソース・コードはソフトウェアのソース・コードより量が少ない
  • 外部から持ってきたライブラリについても内部を理解してインプリメントする
  • 関数の引き数,グローバル変数,タイミングの問題を含んだ柔らかい外部インターフェースを取り扱う
  • 中身を理解して作り変えることもある
  • ライブラリを外部から持ってくるのは当然
  • デバッグ時にカット・アンド・トライや作り変えが可能


  • なるべく多くの部分をハードウェア化したがる
  • プラットホームありきというところから始まる
  • プラットホームがしっかりしていないところでは先に進めない
組み込みキャッチアップ

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