PCI-X 2.0の仕様概要と設計方針(前編) ――DDR、QDRを利用して最大4,264Gバイト/sでデータ転送

Stillman Gates

tag: 組み込み

技術解説 2002年8月29日

C O L U M N
川の流れのように
――パソコンにおけるシステム・バスの変遷

 この20年の間,電子機器の性能が向上するにつれて,バスのデータ転送速度も上がってきました.この傾向は今後も続くでしょう.土手からあふれるほど水かさの増した河川と同じように,増大するデータ転送速度はその圧倒的なパワーによって数々の障害を押し流してきました.性能の問題はつねに解決されてきました.わずかな設計上の改善によってバスを高速化できるのであれば,その方法が即座に採用されました.

 しかしどれほど標準的な技術にも限界があるため,ときにはまったく新しい手法を導入する必要がありますが,これは「技術の不連続性」と呼ばれる現象を引き起こします.通常,技術の不連続性は業界の緊張や大きな混乱を招くことが多いのですが,新しいアプローチへの移行が進むと,こうした混乱は徐々に解消されていきます.

 パソコンの場合,そのシステム・バスは川の流れに似ています.通常のデータの流れがそのときのシステム・バス規格の能力を超えたとき,確実に変化が起こります.その変化が漸進的(旧手法の運用性を維持する小幅な拡張)なら混乱は最小限にとどまり,メーカ各社はスムーズに新しい仕様に移行できます.しかしその変化が革命的(旧手法と互換性のない大幅な変更)であれば,混乱は大きくなるでしょう.

 過去10年間を通して,PCI規格の変化は漸進的でした.従来のPCI規格の中でもっとも新しいものはバージョン2.3です.その後に続くバージョンはPCI-X(PCI Extended)1.0であり,さらにその後には大幅に改訂されたPCI-X 2.0が控えています.しかし,PCI規格はパラレル転送方式に基づいています.クロック速度が増大すれば,データ・スキューやインターシンボル・インターフェース(ISI)の問題を解決するための高度な技術が必要になります.

 Ultra320 SCSI規格は,こうした問題を解決して下位互換性を維持できることを実証しました.しかし,いずれはこれらの問題を解決することが難しくなることでしょう.革命的な解決方法が必要となるのは,このような場合です.パソコンのシステム・バスの場合,革命的なアプローチに相当するのはまちがいなく,PCI規格に続くシリアル・バスのPCI Express規格でしょう.それまではPCI-X規格がパソコンの中で重要な役割を果たすでしょう.

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