PCI-X 2.0の仕様概要と設計方針(前編) ――DDR、QDRを利用して最大4,264Gバイト/sでデータ転送
●DDR,QDRを利用してバス性能を引き上げる
2002年2月,PCI-X 2.0規格のドラフト仕様が公開されました(注1).PCI-X 2.0は,PCI-X 1.0や既存のPCIと下位互換性があります.
PCI-X 2.0の特徴は,PCI-X 1.0に比べてデータ転送速度が2倍(2.132Gバイト/s,DDRの場合),または4倍(4.264Gバイト/s,QDRの場合)になることです(表1).このデータ転送速度を実現するため,PCIのI/Oセルは新たにマルチモード機能を備える必要があります.すなわち,以下のような変更が生じます.
- I/Oセルは,3.3Vと1.5Vの二つのI/O電圧レベル(VIO)を切り替えて使えるようにしなければならない.どちらを使用するかは,選択したバス・モードによって決まる.
- I/Oセルは,共通のCLKデータを転送する従来型の転送方式(レガシ転送)と,新しい転送速度に対応するための同期データ転送方式の両方に対応しなければならない.
また,PCI-X 2.0において,新たに以下の技術が導入されました.
- 新しいコンフィグレーション・レジスタ
- 1.5Vの信号レベル
- データ・ラッチのクロック入力を与えるストローブ信号
- 転送効率を改善するためのくふう
- ECC(エラー訂正コード)によるダブル・ビット・エラー検出とシングル・ビット・エラー訂正
注1;PCI-SIGは,SIGメンバの間で60日間のPCI-X 2.0ドラフトのレビューを行い,いくつかの重要な問題について議論した.そして2002年7月23日,PCI-X 2.0を正式にリリースした.なお本稿は,ドラフトをもとに執筆しているため,製品を開発する際には必ず最終版の仕様を参照してほしい.
〔表1〕PCI-XとPCIの性能比較
仕 様
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バス幅
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バス動作周波数
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最大データ転送速度
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PCI 2.2 |
32ビット
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33MHz
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133Mバイト/s
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PCI 2.2 |
64ビット
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66MHz
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533Mバイト/s
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PCI-X 1.0 |
64ビット
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66MHz
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533Mバイト/s
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PCI-X 1.0 |
64ビット
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100MHz
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800Mバイト/s
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PCI-X 1.0 |
64ビット
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133MHz
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1.066Gバイト/s
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PCI-X 2.0(DDR) |
64ビット
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133MHz
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2.132Gバイト/s
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PCI-X 2.0(DDR) |
64ビット
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133MHz
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4.264Gバイト/s
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