PCI-X 2.0の仕様概要と設計方針(前編) ――DDR、QDRを利用して最大4,264Gバイト/sでデータ転送

Stillman Gates

tag: 組み込み

技術解説 2002年8月29日

●DDR,QDRを利用してバス性能を引き上げる

 2002年2月,PCI-X 2.0規格のドラフト仕様が公開されました(注1).PCI-X 2.0は,PCI-X 1.0や既存のPCIと下位互換性があります.

 PCI-X 2.0の特徴は,PCI-X 1.0に比べてデータ転送速度が2倍(2.132Gバイト/s,DDRの場合),または4倍(4.264Gバイト/s,QDRの場合)になることです(表1).このデータ転送速度を実現するため,PCIのI/Oセルは新たにマルチモード機能を備える必要があります.すなわち,以下のような変更が生じます.

  1. I/Oセルは,3.3Vと1.5Vの二つのI/O電圧レベル(VIO)を切り替えて使えるようにしなければならない.どちらを使用するかは,選択したバス・モードによって決まる.
  2. I/Oセルは,共通のCLKデータを転送する従来型の転送方式(レガシ転送)と,新しい転送速度に対応するための同期データ転送方式の両方に対応しなければならない.

また,PCI-X 2.0において,新たに以下の技術が導入されました.

  • 新しいコンフィグレーション・レジスタ
  • 1.5Vの信号レベル
  • データ・ラッチのクロック入力を与えるストローブ信号
  • 転送効率を改善するためのくふう
  • ECC(エラー訂正コード)によるダブル・ビット・エラー検出とシングル・ビット・エラー訂正

 注1;PCI-SIGは,SIGメンバの間で60日間のPCI-X 2.0ドラフトのレビューを行い,いくつかの重要な問題について議論した.そして2002年7月23日,PCI-X 2.0を正式にリリースした.なお本稿は,ドラフトをもとに執筆しているため,製品を開発する際には必ず最終版の仕様を参照してほしい.

〔表1〕PCI-XとPCIの性能比較

仕 様
バス幅
バス動作周波数
最大データ転送速度
PCI 2.2
32ビット
33MHz
133Mバイト/s
PCI 2.2
64ビット
66MHz
533Mバイト/s
PCI-X 1.0
64ビット
66MHz
533Mバイト/s
PCI-X 1.0
64ビット
100MHz
800Mバイト/s
PCI-X 1.0
64ビット
133MHz
1.066Gバイト/s
PCI-X 2.0(DDR)
64ビット
133MHz
2.132Gバイト/s
PCI-X 2.0(DDR)
64ビット
133MHz
4.264Gバイト/s
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