PCI-X 2.0の仕様概要と設計方針(前編) ――DDR、QDRを利用して最大4,264Gバイト/sでデータ転送
●2種類のI/O電圧に対応させる
より高速なデータ転送を実現し,最新の回路技術に対応するため,PCI-X 2.0ではモード2の信号レベルとして,新たに1.5Vをサポートすることにしました.実際のところ,PCI規格の次のバージョンでは,新規部品などで問題が生じている5Vの信号レベルのサポートを中止することになるかもしれません.
PCI-X 1.0のアドイン・カードの電源電圧や許容誤差,カード負荷限界は,従来のPCIデバイスやPCIアドイン・カードと同じです.ただし,PCI-X 2.0のシステムでは,システムがバスを初期化したときのモードをもとに,I/O電圧(VIO)を設定します.具体的には次のとおりです.
- バスがPCI-Xモード1で動作する場合,I/O電圧は3.3 Vに設定される
- バスがPCI-Xモード2で動作する場合,I/O電圧は1.5Vに設定される
なお,アドイン・カード・コネクタ上のほかの5Vや3.3 Vの電源ピンは,モード1とモード2のどちらを選んでも影響を受けることはありません.
したがって,PCI-X 2.0のシステムとアドイン・カードは,たとえ同じI/O電圧に設定された場合でも,電源電圧は別と考える必要があります(3.3V電源から独立している).このため,I/O電圧を以下の電源回路から切り離さなければなりません.
- アドイン・カード上の電源回路
- デバイス・パッケージ内部の電源回路
- デバイス・ダイ(チップ)内部の電源回路
これにより,PCI制御用ASICのパッケージのピン数は増加するかもしれません.最終的には,一つのPCI-Xモード2のスロットに必要な電源で消費する最大電力は,従来のスロットの消費電力と同じ値(25W)になります.
しかし,PCI-Xモード2のシステムはI/O電圧の状態を監視しており,もし電圧値が仕様範囲を超えれば,500ns以内にリセット信号RST#をアサートしなければなりません.I/O電圧が1.5Vに設定されている場合,3.3V電源の電圧がI/O電圧から300mV以上下回ると,システムはその時点から100ns以内にRST#をアサートしなければなりません.また,アドイン・カード・スロットのI/O電圧に影響を与える動作電流やデカップリング・キャパシタンス,スルー・レートの値も,ドラフト仕様で定められた許容誤差の範囲内でなければなりません.