破壊と創造のサイクルを回せ!《アイデア出し編》 ―― ものアプリハッカソン(1)

久保 幸夫

tag: 組み込み 電子回路

レポート 2013年2月 1日

●1日目のプレゼンと1次審査

 いよいよ,各チームのプレゼンである.プレゼンでは,製品コンセプトと,製品があるとき/ないときの様子(紙芝居),製品デザインについて,5分間で表現する(写真17写真18).この1次審査では,10チームのうち5チームが選抜される.

 

写真17 チームDのプレゼン「『独りじゃない』プラネタリウム」
幼い子どもを寝かしつけるとき,お母さんが子どもの手をとん,とん,とたたいてやると,プラネタリウム(ここではパソコンの画像をプロジェクタで投影したもの)の星が輝いて「きらきら星」の曲がとん,とん,のリズムに合わせて奏でられるシステム.システムはインターネットを介してお父さんともつながることができ,遠隔地のお父さんも子育ての時間に参加できる.職場のお父さんがスマホを操作すると,プラネタリウムに流れ星が流れる.

 

写真18 チームIのプレゼン「『KodoQ』怒りのイカ」
おじいちゃんが怒りを感じたとき,それを即,おばあちゃんにぶつけるのではなく,スマホにぶら下げたイカを思い切り握りつぶす.そのおじいちゃんの怒りの行動は,Arduinoにつないだセンサが読み取り,Androidアプリを介してクラウドのサーバにいったん保存される.1時間後,おじいちゃんのスマホに,「怒り」をおばあちゃんに送信するか否かという質問が届く.怒りのおさまったおじいちゃんは「送信をやめる」を選択するので,めでたしめでたし,というシステムである.「怒り」というネガティブな情報の送信を,あえて非同期にすることで時間差を作り,怒りの伝搬を防止できるようにしている.

 

 

 審査員は,Cerevo 代表取締役CEOの岩佐 琢磨氏,GOB-Labの山口 高弘氏,プレン・プロジェクト・コミッティ代表の赤澤 夏郎氏と早石 直広氏の4名である.審査基準は以下の通り.

  1. ユーザ・インサイト:表面的なユーザの目的(ニーズ)を解決しているのではなく,ユーザ自身も気づいていなかった目的(インサイト)にアプローチしているか.
  2. 認知バイアスの破壊:解決策を考え出す際に,無意識に持っていた先入観(バイアス)を可視化し,その先入観を乗り越えた解決策を出せているか.
  3. アイデアの創造性・革新性
  4. 実現可能性 ※最終審査のみ


●Cerevoの岩佐氏が中国への製造委託のコツを語る

 審査結果発表までの空き時間に,Cerevoの岩佐氏が,ハードウェア・スタートアップ企業に関する講演を行った(写真19).Cerevoは,「Consumer Electronics(家電)をRevolution(革新)する」をコンセプトにした,「日本初のディジタル家電のファブレス・メーカ」(岩佐氏)である.ユーザのニーズが多様化した現在だが,ニッチな多品種少量生産に対応できるのは,小さな規模で始められる「Maker」だという.部材の確保や生産はネットを使って探すが,やはり中国が主な舞台になると述べた.

 

写真19 Cerevo 代表取締役CEOの岩佐 琢磨氏の講演

 

 

 筆者は,中国企業との取引は,品質,納期などの面で不安材料があるのではないかと思うが,岩佐氏は,リスクを承知の上で,危うさを感じる中国企業との取引にも余裕を持って(むしろ楽しんで)いるような感を受けた.しかし,納期前には,現地の製造委託先に飛んで,実際に現場で現物を確認したり,念を押すこともしているという.また,コピー品が出回るリスクについては,同社はもともと特定の製品で何年も利益を出すことを考えていないという.コピー品が出るころには次の製品を世に出すというスピード感が必要なようだ.

 

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