破壊と創造のサイクルを回せ!《アイデア出し編》 ―― ものアプリハッカソン(1)
山口氏によると,多くの革新的な製品はマーケティングに基づいて作られているのではなく,周りの実在の一人(ユーザ)を幸せにするために作られているという(写真3).そして,そのためには,ユーザの生活における「体験」を見つめ,「ユーザが実現したいこと(ニーズ)」を探し,さらに深掘りして「ユーザが実現したいことの裏に潜む,ユーザ自身もまだ気がついていない本質的な目的(インサイト)」をあぶり出す必要があるという.
写真3 革新的な製品は実在の一人を幸せにするために作られた

そして,ユーザの本質的な目的を満たすために,複数のアイデアを発想するのだが,その際は,目的を実現するための切り口を,バイアス(既成概念や思い込み)を崩して発想する必要があるという(写真4).また,イノベーションを創造するには,初めに考えたアイデアを勇気を持って脇に置き去り,別の角度から見直したり一度壊してみて2回目のアイデア出しを行い,さらにバイアスが排除されていることに注意しながら3度目のアイデア出しを行うことで,アイデアを高いレベルに昇華させられるのだという.
写真4 イノベーション創造プロセス

●ワークショップをいざ開始!
続いて,参加者は10チームに分かれ,山口氏の進行のもとにアイデア・ワークショップが始まった(写真5).4~5名で構成されるチーム・メンバは,マーケッタや製品デザイナなどのクリエータ系の人あり,Web系やアプリ系のソフトウェア技術を持つ人あり,Arduinoなどのフィジカル・コンピューティングやハードウェア技術を持つ人あり,といった混成チームである.女性も混じっており,年齢も20歳代~50歳代と,バラエティに富んだ構成である.
写真5 A~Jの10チームに分かれてアイデア・ワークショップを開始

自己紹介が終わりチームが和んだころ,山口氏から,アイデア・ワークショップの課題(テーマ)が発表された(写真6).
写真6 提示された三つのテーマ
「家族のコミュニケーション経験を革新するおもちゃ」,「"カワイイ"で旅行経験を革新するプロダクト」,「オフィスでの生産性を革新するロボット」.この中からチームごとに,一つを選ぶ.
