破壊と創造のサイクルを回せ!《アイデア出し編》 ―― ものアプリハッカソン(1)
2013年1月26~27日,大阪駅前の新阪急ビルにあるアーバンイノベーションホール(大阪市北区)にて,ワークショップ・イベント「ものアプリハッカソン」が開催された(写真1).Arduinoを使って電子機器を製作した経験のある人(ものづくり系技術者)やWeb系プログラマ,製品デザイナなどが集まり,与えられたテーマに基づいてオリジナル・ガジェット(電子機器)の試作品開発にチームで取り組んだ.主催は大阪市(計画調整局 企画振興部 科学技術振興担当).
写真1 ものアプリハッカソンの様子
アーバンイノベーションホール(大阪市北区)で開催された.なお,これは2日目の様子である.

ものアプリハッカソンとは,もの(ハードウェア)とアプリ(ソフトウェア),ハッカソン注1を掛け合わせた名称である.本イベントでは,ガジェットのハードウェアにArduinoを,ソフトウェアにAndroidを使う.この二つを連携させ,さらにインターネットやクラウドのサービスと連携させることで,何ができるか,何が作れるか,といったアイデアを出し合い,試作品を2日間で実装することを試みた.
注1:ハッカソン(Hackathon)とは,「Hack」と「Marathon」を合わせた造語.ソフトウェア開発分野でしばしば行われるイベントの名称であり,メンバが集まって集中的に共同作業を行うことを特徴とする.
ソフトウェアやAndroidアプリのハッカソンは,国内でも数多く行われている.また,Arduinoなどのフィジカル・コンピューティング・デバイスを使ったディジタル・ガジェットのワークショップなども行われている.しかし,両者を掛け合わせた「もの作り×ハッカソン」は,初めての試みではないだろうか?
大阪市 計画調整局 科学技術振興担当 部長の山口 あをい氏によると,大阪は昔からものづくりの街であり,大阪が誇るハードウェアの技術にITを融合して,新しいものづくりの扉を開こう,というのが今回の取り組みの狙いであるという.さらに大阪市は,世界中から人材・情報・資金を集め,グローバルなイノベーション創出を支援する拠点を,2013年4月にオープンする開発区域プロジェクト「グランフロント大阪」(大阪市北区)注2の「ナレッジ・キャピタル」内に開設予定だという.
注2:グランフロント大阪とは,大阪駅北地区(うめきた)の先行開発区域プロジェクトである.
本イベント1日目は,アイデア・ワークショップを行い,コンセプト・モデルを作成した.2日目は,コンセプト・モデルを基に,支給されたArduinoなどのハードウェアと組み合わせて実装を行い,試作品を開発した.ここではまず,1日目の様子を報告する.
●革新的な製品は「実在の一人」のために作られている
アイデア・ワークショップの前に,本イベントの講師を務めるGOB-Lab(GOB Laboratory)の山口 高弘氏が,イノベーションに対する考え方とイノベーションを創造するプロセスについて説明した(写真2).
写真2 講演するGOB-Lab Directorの山口 高弘氏
山口氏は,大手シンクタンクにも所属している.GOB-Labは,小学生・中学生向けの創造性教育や新組織立ち上げの支援事業,組織内でのプロジェクト立ち上げの支援などを行う組織である.活動に参加しているメンバは,それぞれ特定の領域におけるプロフェッショナルであるという.
