破壊と創造のサイクルを回せ!《アイデア出し編》 ―― ものアプリハッカソン(1)

久保 幸夫

tag: 組み込み 電子回路

レポート 2013年2月 1日

●ユーザを発見,分析,理解する

 各チームは,さっそく三つのテーマから一つを選択し,そのテーマで何を創り出すか,というコンセプトのプロトタイプを作成する作業に入った.この作業は,先ほど山口氏が解説したイノベーション創造プロセス(写真4)に沿って行われた.すなわち,下記の手順である.

  1. ユーザ発見:実在の一人の人物を,ユーザとして決める.
  2. ユーザ理解:ユーザの体験や経験を具体的にイメージする.
  3. 目的の定義:ユーザが「実現したいと思っていること」,「自身も認知していない本当の目的」を定義する.
  4. アイデア発想:目的を実現するための切り口を,バイアスを崩して発想する.複数の要件を実現するアイデアを創り出す.
  5. プロトタイプ:価値を確かめるために,形にしてみる.
  6. テスト:実際に作った試作品をユーザに渡し,ユーザからフィードバックをもらう.

 まずは,特定の実在の一人をユーザとして決め,分析していく作業が行われた.個々のメンバが特定のユーザをさまざまな切り口でイメージして付せん紙に書き込む.それをチーム内で集めて,さまざまな切り口で分類し,ユーザを定義していく(写真7).

 

写真7 個々のメンバが考えた特定の実在の一人(ユーザ)のキーワードを集めて分類
2日間の長丁場である.お菓子をつまみながら,ワークショップは進む.

 

 

 

 さらに,ユーザを分析してインサイト(本質的な目的)を見つけるために,ユーザの体験に着目して,ユーザの目的(表面的な「ニーズ」と深層にある「インサイト」)を抽出する.その時に使うツールは,ユーザの体験を,過去/現在/未来の時系列で並べた「ライフ・イベント・マップ」である(写真8).ユーザの体験(ライフ・イベント)を,「イケてる/イケてない」という気分の高低でプロットする.その上に,テーマに関連する曲線を重ね合わせ,「面白い経験」との相関点,または逆相関にある経験を抽出する.

 

写真8 ユーザの体験をイメージしながら「ライフ・イベント・マップ」を描く
時系列(過去/現在/未来)と「気分が上がっている/下がっている」を軸に取り,ユーザの体験をプロットしていく.そして,ユーザのシチュエーションを想像しながら,テーマに関する曲線を書き足し,その中から「おもろいこと/体験」を拾い出す.

 

 

 そして,各個人でマップ上のユーザの体験に着目し,ユーザの表面的な目的(ニーズ)と深層にある目的(インサイト)を抽出する.それをグループ間で共有して,再度,ユーザのニーズとインサイトを1枚の大きな紙にまとめあげる(写真9).

 

写真9 チームJの「ライフ・イベント・マップ」(中央)と,抽出した「ニーズ&インサイト」(右端)
ユーザは「36歳女性,会社員,夫と息子の3人家族」.ニーズは「しごとの効率を高めて持ち帰りをなくしたい」.インサイトは「子どもと楽しい時間を過ごしたい,しごとをせずに収入だけほしい」.

 

 

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