1時間耐久に出るコンバートEVたち の巻 ―― 第17回 日本EVフェスティバル2011 (4)
●メイン・イベントが近づき,来場者が増加
このフェスティバルのメイン・イベントであるコンバートEVによる1時間耐久レースが近づいてきた.お昼を境に会場内のピット裏に展示されていたコンバートEVたちはレースの準備に入り,慌ただしくなってきた(写真1).レースで走らせるための車検も順次行われているようだ.今回のエントリ・リストを見ると29台がリストアップされていて,25台が鉛電池のクラスで,24台がリチウムイオン電池のクラスだ(クラス分けについては連載第1回を参照).午前中はインタビューできたが,もはや難しい.
レポート・連載「第17回 日本EVフェスティバル2011」 バック・ナンバ
第1回 日の出前,筑波サーキットにEVが集っていた!の巻
第2回 片山 右京のEVカートは飛ぶように走り抜けた! しかし,トップは... の巻
第3回 eneloopカートからEV消防車まで,ユニークな電気自動車が続々登場 の巻
写真1 昼頃になると来場者が増えてきた
ということで,ごく一部のEVについてしかインタビューできなかった.ここでは,そのダイジェストを紹介したい.
●フェアレディSR311に最新のリチウムイオン電池を搭載
写真2を見て懐かしいと思われる方も多いかもしれない(きっと40代以上の方).1967~1970年に生産された日産のフェアレディSR311(いわゆる2代目,2000cc)である.国産初の200km/hオーバーカーだったそうだ.これをJFEエンジニアリングとオズ・コーポレーションがEV化した.ワインレッドのボディに白いラインがまぶしい.一見では,40年前の車とは思えないほど状態がいい(写真3).ヴィンテージ車を大事にとっておいて眺めるのもいいが,この車で公道をドライブできればどんなに楽しいだろう.想像するだけでワクワクする.
写真2 60年代末のあこがれのスポーツ・カー
写真3 後ろ姿が"超クール"!
リチウム・イオン電池が積まれている.
「旧車(ヴィンテージ車)をただ動かすのは難しくないが,公道を走ろうと思うと車検を通さなくてはならない.そこで,現在の排ガス規制をクリアすることはたいへん難しい.コンバートEV化は,その問題を解決してくれる.いわば最新の環境対策車にするわけだから」と,製作者であるオズ・コーポレーションの古川氏はいう.なるほどね.
「この車で耐久レースに出るのですか?」との問いには,「もちろん! ヘッドライトを見たら分かるでしょ! そのために今朝は暗いうちから来ているのです」とのこと.「優勝をねらうのか?」と聞くと,「超急速充電が得意だが,途中の充電が認められていないし,積んでいる電池の容量がそれほど多くないので,トップでゴールは難しいだろうなぁ.省エネ・ドライブで,とりあえず完走狙いで行く予定」だそうです.