衝突しないクルマを目指して ―― 人とくるまのテクノロジー展(自動車技術展)2010レポート

福田 昭

tag: 組み込み 電子回路

レポート 2010年5月25日

 自動車技術に関する総合展示会「人とくるまのテクノロジー展(自動車技術展)2010」が5月19日~21日にパシフィコ横浜・展示ホールで開催された(写真1).「人とくるまのテクノロジー展(自動車技術展)」は1992年より毎年初夏に開催されており,今回で第19回となる.3日間の来場者数は70,947名で,前回(2009年)の51,446名を大幅に上回った.

 自動車産業が抱える大きな課題は,依然として「安全」と「環境」である.前回の自動車技術展では環境問題を考えたハイブリッド車や電気自動車の展示が賑やかだった(前回のレポートを参照).今年は逆に,安全対策を前面に押し出した展示が目立っていた.


写真1 人とくるまのテクノロジー展2010の来場者登録受け付け会場と案内図



 

●クルマの周囲をサーチして衝突を回避

 なかでも注目を集めていたのが,自動車メーカの富士重工業が開発した安全運転支援システム「アイサイト(EyeSight)」の改良版「アイサイトバージョン2(EyeSight ver.2)」である(写真2).「EyeSight」は前部座席の天井に取り付けたステレオ・カメラによって前方を撮影し,画像処理によって四輪車や自転車,歩行者などを検知する(写真3).


写真2 「アイサイト(EyeSight)」の説明パネル



 


写真3 運転席から天井を見上げたところ
バックミラーを取り囲むような出っ張りにステレオカメラが収納されている.



 

 ステレオ・カメラは画像処理機能を内蔵しており,先行車との相対速度や距離などを計算する(写真4).この計算出力を基に,走行状況を判断して運転者に警告を出したり,ブレーキを自動的にかけたり,車両速度を上げ下げしたりする.


写真4 「アイサイト(EyeSight)」のステレオ・カメラ
富士重工業と日立製作所が共同で開発した.



 

 改良版の「アイサイトバージョン2(EyeSight ver.2)」は,時速30km/h以下の状況で先行車や2輪車などとの衝突の可能性が高いと判断すると自動的にブレーキをかけ,場合によっては「完全に停止する」ことで衝突を回避する.これまではブレーキをかけても完全に停止させることはなかった(停止させるのは運転者だった).速度差が30km/h以上の状況ではブレーキをかけても停止はせず,衝突の被害を軽減する.

 また前方障害物や先行車などとの衝突の可能性が高いと「アイサイトバージョン2」が認識し,運転者の急ブレーキ操作を検知した場合は,ブレーキをアシストすることで衝突の回避,あるいは衝突被害の軽減を図る.なお「アイサイトバージョン2」は,富士重工業の乗用車「レガシィ」に搭載される予定である.


 

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