ハイブリッド・カー「インサイト」vs．新型「プリウス」，技術展示でも火花を散らす ―― 人とくるまのテクノロジー展（自動車技術展）2009レポート

　自動車技術に関する総合展示会「人とくるまのテクノロジー展（自動車技術展）2009」が5月20日～22日にパシフィコ横浜・展示ホールで開催された（写真1）．出展社数は320社，出展小間数は735小間で過去最高を記録した前年（392社，982小間）を下回った．本展示会は，1992年より毎年初夏に開催されており，今回で第18回となる．

[写真1]  会場の様子

●低価格ハイブリッド・カー「インサイト」，「プリウス」に注目集まる

　今回の自動車技術展で来場者の注目を集めていたのは，市販のハイブリッド・カーである．本田技研工業が2月5日にハイブリッド・カー「インサイト」を発売し，トヨタ自動車が5月18日にハイブリッド・カー「プリウス」の新型を発売した．いずれも過去のハイブリッド・カーに比べると価格が下がっており，乗用車ユーザにとって入手しやすくなったことが関心を大きく高めたようだ．

　本田技研は「インサイト」の実車と内部構造モデルを展示した．「インサイト」は5ナンバ・サイズの乗用車で，全長4,390mm×全幅1,695mm×全高1,425mm，ホイール・ベース2,550mm（写真2）．乗車定員は5名．排気量1.3リットルのガソリン・エンジンと最高出力10kWの交流同期モータを原動機とする．バッテリはニッケル水素（NiH)2次電池．燃料消費率は10・15モード走行時に30.0km/リットル．

[写真2] 本田技研工業のハイブリッド乗用車「インサイト」

　内部構造モデルとは，実車を前方から後方まで中央から切断した断面を模したもの（写真3）．フロントに配置したエンジンとモータ，および荷物室下に配置したIPU（Intelligent Power Unit）を展示していた．

（a）フロントのモータ（手前下）とエンジン

(b) 荷物室の下に配置したIPU．
PCU（Power Control Unit）とバッテリ（ニッケル水素2次電池）で構成される．
［写真3］ 「インサイト」の内部構造モデル

　トヨタ自動車は新型「プリウス」の実車を展示した．新型「プリウス」は3ナンバ・サイズの乗用車で，全長4,460mm×全幅1,745mm×全高1,490mm，ホイール・ベース2,700mm（写真4）．乗車定員は5名．排気量1.8リットルのガソリン・エンジンと最高出力60kWの交流同期モータを原動機とする．バッテリはニッケル水素2次電池．燃料消費率は10・15モード走行時に38.0km/リットルと「インサイト」より良好である．また，トヨタは，プリウスの原動機の実寸模型を展示し，モータ部分を切断して内部構造を示してみせた（写真5）．

[写真4] トヨタ自動車のハイブリッド・カーの新型「プリウス」

[写真5] 新型「プリウス」の原動機
左奥がガソリン・エンジン，右手前がモータ．