衝突しないクルマを目指して ―― 人とくるまのテクノロジー展(自動車技術展)2010レポート
●半導体メーカが画像処理や音声処理への応用例をアピール
半導体メーカの富士通セミコンダクターは,ミニカーの周囲に4台のカメラを取り付け,撮影した画像を合成する技術を展示してみせた(写真7).4台のカメラが撮影した映像を3次元モデル上で合成しているので,視点を全方位で切り換えられる.同社は,この撮影表示システムの開発に必要な3次元グラフィックス・コントローラ内蔵LSIと開発支援ソフトウエアを提供していく.
写真7 ミニカーの前方と後方,右側面,左側面のカメラを取り付けて撮影した4本の映像を3次元モデル上で合成し,写真上部のパネルに表示した
この画像はミニカーを上方から見たところ.
半導体メーカのセイコーエプソンは,疑似エンジン音発生システムを試作し,実演していた(写真8,写真9).ハイブリッド車のモータ走行時や電気自動車の走行時などはガソリン車と違ってエンジン音がほとんどない.このため,車両が歩行者のすぐ近くを走行しても,歩行者が車両の接近に気付かない恐れがある.そこでセイコーエプソンは,同社製の音声ガイダンス用LSIの応用例として疑似エンジン音の発生システムを試作した.
テレビ・ゲーム機の自動車運転ゲーム用コントローラを使い,アイドリング音やアクセルの空ぶかし音,加速音などを再生してみせた.エンジン音には実際の音声をディジタル録音したデータを使い,音声ガイダンス用LSIのROM領域に格納してある.
写真8 疑似エンジン音発生システムの説明パネル
写真9 疑似エンジン音発生システムの実演展示
右のハンドルにイグニションやアクセル,ブレーキなどのスイッチが組み込んである.エンジンを起動すると,右奥のスピーカからエンジン音が出てくる.左端のパネルは,オートマチック・トランスミッションのレンジ表示と速度計を兼ねる.