放熱,事後対策の進め方 ―― 温度分布や空気の流れの正確な把握と各種対策部品の使いこなしが鍵
シミュレーション・モデルの作成においても,既存の製品やモックアップ試作品による実測データを用いて何度か試行比較し,実測結果との整合性を取り,シミュレーション・モデルに反映させていくことが必要です.望ましい熱設計,熱対策の流れの一例を図3に示します.特に小型製品の開発においては,製品の性能や形状を決めるために熱設計が必須となってきているので,ぜひ熱設計に関するノウハウを蓄積しておくことをお勧めします.
図3 製品開発における熱設計,熱対策の流れ
実測データを用いて何度か試行比較し,実測結果との整合性を取り,シミュレーション・モデルに反映させていくこと.
参考・引用*文献
(1)伊藤謹司,国峰尚樹;トラブルをさけるための電子機器の熱対策設計 第2版,2006年8月,日刊工業新聞社.
(2)鈴木昭次著,オリエンタルモーター監修; 電子機器設計のためのファンモータと騒音・熱対策,2001年4月,工業調査会.
(3)国峰尚樹;エレクトロニクスのための熱設計完全入門,1997年7月,日刊工業新聞社.
(4)贄川潤,木村祐一;マイクロヒートパイプと放熱技術入門,1999年4月,日刊工業新聞社.
(5)"PGS"グラファイトシート仕様書,松下電器産業.
(6)* スタックフィンヒートシンク,古河電工.
(7)* クリンプフィン・ヒートシンク,古河電工.
(8)* DC軸流ファンモーター,ミネベア.
(9)* ヒートパイプ,フジクラ.
まつい・よういち,のむら・たいちろう
日本アイ・ビー・エム(株)
<筆者プロフィール>
松居 洋一.1990年に日本アイ・ビー・エムに入社.電子部品の信頼性評価,熱設計・熱解析・熱対策業務を中心に従事してきた.ほかのメンバが最初は反対するような,とにかくやってみよう対策が得意技.熱業務に従事することで辛抱強い性格になった気がする.
野村 太一郎.1983年に日本アイ・ビー・エムに入社.半導体生産技術,電子部品の信頼性評価,メモリ・シグナル解析,熱設計および対策業務に従事してきた.信頼性/熱設計を行った人道目的のための地雷探知機が,炎天下のカンボジアで動作した時の感動は忘れられない.