放熱,事後対策の進め方 ―― 温度分布や空気の流れの正確な把握と各種対策部品の使いこなしが鍵

松居洋一,野村太一郎

tag: 実装 電子回路

技術解説 2007年8月28日

ステップ6 熱対策の心構え

● 何が今までと違うのか

 熱の問題が発生したときこそ,問題の発生原因を冷静に考えてください.犯人を捜して,恨みをぶつけるためではありません.部品の発熱量の見通しが間違っていたのか,想定していなかったほど高い負荷で使用されたためか,製品の仕様や設計が知らないうちに変更になってしまったからか....特定の部品の発熱量や設計内容が当初の予定と違っていれば,熱対策の方向性がおのずと見えてきます.また,使用するソフトウェアにおける負荷の読み間違いや製品の仕様変更が原因の場合には,当初,冷却システムを設計したとき前提とした発熱量よりも高い大きな発熱量を冷却するわけですから,冷却システムの能力自体を増強する必要があります.

 これは熱だけに限った問題ではないと思いますが,問題が発生したら,そして問題が一段落したら,製品開発工程自体に問題がないかどうかの見直しと次期製品開発工程への反映が重要です.初期設計は特に部品の発熱量,製品の使用方法(温度測定方法)の見積もりを正確に行うことが重要です.また,開発期間中は熱に関係する(関係しそうな)設計変更が入らないかどうかを常に気を付けてください.

● 熱問題...原因も解決方法も一つではない

 熱問題の原因は複数の要因が関係することも多く,特定することが困難な場合があります.また,熱問題に対しても,対策のコストが問題となる場合,重量が問題となる場合,体積が問題となる場合など,さまざまな対策が必要とされるので,必ずしも正解は一つではありません.むしろさまざまな熱対策を組み合わせることの方が一般的です.また,熱問題を解決するために有効な対策が,製品の機械的強度やEMC特性を悪化させる場合すらあります.実際の熱対策はくれぐれも製品開発を全体的に指揮しているマネージャ,およびほかの要素技術の担当者と密接に協業しながら進める必要があります.

*     *     *

 電子・電気機器の高性能化に伴って消費電力も増大し,製品開発では熱の問題をどう解くかが最も大きな課題となってきています.熱対策にはコストと時間がかかり,場合によっては製品の性能やきょう体の形状まで変更せざるを得なくなります.このような問題を回避するためには開発の初期段階で熱設計を行うことが非常に重要です.熱設計で部品配置やきょう体の寸法,吸排気口の位置,熱対策部品の採用などを的確に決めることにより,試作段階での大きな問題を避けることが可能になります.

 熱設計と言っても,適正に行うことはそう簡単ではありません.熱設計には熱流体解析シミュレーションを使用するのが有効ですが,このシミュレーションには誤差要因が必ず含まれています.そのことを認識し,得られた結果がある程度正しいのか,設計マージンをどのくらい取る必要があるのか判断する目を養う必要があります.熱設計の教科書などに簡易な計算式も載っているので併用することをお勧めします.

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