組み込みマイコンにおけるベンチマーク利用法の新しい動向 ―― 車載,産業機器,民生機器などの分野別ベンチマークを提供するEEMBC(エンバシー)

大塚聡

tag: 組み込み 半導体

技術解説 2007年6月14日

EEMBCベンチマークのプリンタにおける応用事例

● ベンチマーク・テストの対象をプリンタに設定した場合

 ベンチマークを製品設計で利用する具体事例を,プリンタで用いるプロセッサ選定に関して示します.まず,次世代プリンタの基本要求性能を決めます.例えば印字速度24ppmを基本要求性能とします.次に,このプリンタに求められる基本機能を定義します.例えばネットワーク接続,プリンタ制御言語,画像処理,モータ・ドライブ機構,USBインターフェース,LCDメニュー表示を基本機能とします.

 これらの各基本機能をEEMBCベンチマーク・スイーツに関連付けます.ネットワーク機能についてはNetworking,プリンタ制御言語についてはOABenchのテキスト処理, 画像処理についてはOABenchのディサリングおよび車載・産業機器の行列演算に関連付けることが可能です.また,モータ・ドライブ機構については,AutoBenchの点火角度時間変換およびPWMに関連付けます.USBとLCDメニューについては,CPU作業負荷の5%と見積もります.

● 旧型機種とのスコア比を目標値に設定する

 従来機プリンタの商品化の際に,米国PMC-Sierra社のRM5261A(300MHz)を用いていたと仮定します.各ベンチマーク・スイーツにおいて従来機の性能を1として次世代プリンタの性能目標を決めます.この場合,公開スコアとしてはRM5261A(400MHz)が存在するので,それをデータ・ポイントとして利用します.すると次世代機の性能目標は次のようになります.

―ネットワーキング ×2
―テキスト処理   ×2
―ディサリング   ×3
―行列       ×2
―点火角度/PWM   ×1.5
―その他 CPU作業負荷の5%

 Web上に公開されたスコアをベースに,目標に近い性能をもつプロセッサについて相対比較したグラフを図2に示します.この図ではRM5261A(400MHz)の性能を1としています.これらの性能目標から最大要求コア周波数と平均要求コア周波数を,対象となるプロセッサについて求めます.前者についてはディサリングの×3,後者については点火角度/PWMの×1.5を用いると図3が得られます.次に個別のベンチマークについて分析します.

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図2 ベンチマークによる相対性能比較

PMC-Sierra社のRM5261A(400MHz)を1にした相対性能を示す

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図3 要求コア周波数

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