組み込みマイコンにおけるベンチマーク利用法の新しい動向 ―― 車載,産業機器,民生機器などの分野別ベンチマークを提供するEEMBC(エンバシー)
EEMBCの主な会員は表2の通りです.
今後,日系企業の会員数が増えた場合には,日本でも準分科会を開く考えです.
米国Adaptec社 米国Altera社 米国AMD社 米国Analog Devices社 米国ARC International社 英国ARM社 米国Artifex Software社 米国Atmel社 米国Broadcom社 米国Code Sourcery社 スイスesmertec社 米国Freescale Semiconductor社 米国Fujitsu Microelectronics社 米国Green Hills Software社 スウェーデンIAR Systems社 |
米国IBM社 英国Imagination Technologies社 米国Improv Systems社 ドイツInfineon Technologies社 米国Intel社 アイピーフレックス 米国LSI Logic社 米国Marvell Semiconductor社 松下電器産業 米国Mentor Graphics社 米国Microchip Technology社 米国MIPS Technologies社 米国National Instruments社 NECエレクトロニクス フィンランドNokia社 |
オランダNXP Semiconductors社 沖電気工業 米国PMC-Sierra社 米国Qualcomm社 台湾Realtek Semiconductor社 米国Red Hat社 ルネサス テクノロジー ソニー・コンピュータエンタテインメント ST Microelectronics社 米国Sun Microsystems社 米国Tensilica社 米国Texas Instruments社 東芝 VIA Technologies社 米国Wind River Systems社 |
表2 EEMBCの現在の主な会員企業(2006年12月現在)
EEMBCベンチマークの利用法の多目的化
従来プロセッサのベンチマークといえば,プロセッサ・ベンダが自社製品の処理性能の優位性を訴えるためのマーケティング・ツールでしかありませんでした.EEMBCベンチマークは,業界標準ベンチマークとなることで新たな使い方が生まれました.
プロセッサ・ベンダおよびコンパイラ・ベンダは,次世代製品を開発するときの設計指標として,EEMBCベンチマーク・スコアを利用できます.
システム設計者は新規設計で用いるプロセッサの選択を,EEMBCベンチマークを使って行うことができます.またシステム設計者は,実設計のプロセッサ・メモリ・サブシステムのハードウェア・デザインの性能検証に,EEMBCベンチマークを利用できます.近い将来,EEMBCベンチマーク・スコアは,性能に関する設計指標としてシステムの設計仕様書に明記されるようになるでしょう.また,性能に関する品質指標として,システムの品質仕様書に記載されるでしょう.
携帯電話通信事業者は,星の数ほどある携帯電話を性能の観点でクラス分けすることで,分かりやすい分類が可能となり,同時に顧客提案が容易になり,そして次世代携帯電話の設計指標にも利用されるでしょう.携帯電話の購入予定者は,EEMBCベンチマーク・スコア(GrinderBench)をベースにすれば,性能面での購入機種の絞り込みが容易になります.プロセッサ・ベンダやシステム・メーカにとって,いままでグレイゾーンにあった客観的な性能評価法が確立されたことで,今後競争が厳しくなると思われますが,目標設定の明確化,製品訴求力の向上など,プラスの側面のほうが圧倒的に大きいと考えられます.