物理層にUWBを用いるWireless USB接続 ――従来のUSB 2.0インターフェースと同じところ,違うところ
● デバイスの通知は専用パケットを用いて行う
USB 2.0のデバイスは,ケーブル経由の電気信号を用いて,「接続」,「切断」,「リモート起動」などのイベントをホストに通知します.一方,Wireless USBのデバイスは,無線によるDN(デバイス通知)パケットを使用して上記のイベントをホストに通知します(表3).Wireless USBのホストがデバイス通知CTAを備えたMMCを送信した後,デバイスはスロット化アロハ 注2に基づいたDNTS(Device Notification Time Slot)を獲得し,デバイス通知イベントをホストに送信します(複数のデバイスが競合した場合,優先度の高いDNメッセージを送ったデバイスがDNTSを獲得する).
USB 2.0のデバイスは,フロー制御にNAK(ネガティブ・アクノリッジ) 注3およびNYET(ノット・イエット)注4などを使用します.一方,Wireless USBの場合,インタラプト転送やアイソクロナス転送などの定期的な転送では,前のIN転送またはOUT転送に対してデバイスがNAKを返したとしても,ホストは次のサービス間隔においてトランザクションのスケジュールを設定します.また,コントロール転送やバルク転送などの非定期的な転送の場合,ホストはトランザクション中にデバイスからNAKを受信すると,DN_EPRdyを受信するまでその特定のエンドポイントに対してトランザクションのスケジュールを設定しません.
注2;メディア・アクセス制御方式の一つ.時間軸を単位時間(スロット)に分割し,スロットに同期してパケットを送信する方式.
注3;転送のステータスがビジーなので,再送を要求している状態.
注4;正常に受信したが,次のOUT転送データを受信する準備ができていない状態.
表3 デバイス通知メッセージ
DNメッセージ
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意 味
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DN_Connec | 接続および再接続の通知 |
DN_Disconnect | 切断の通知 |
DN_EPRdy | デバイス・エンドポイントがデータ転送を 再開するための準備が整った際の通知 |
DN_MASAvailChanged | デバイスのメディア・アクセス・スロット (MAS)の変更 |
DN_RemoteWakeup | スリープ中のホストに対する起動の通知 |
DN_Sleep | デバイスが省電力状態に入る際の通知 |
DN_Alive | Keepalive IE*1への応答 |
*1Keepalive IEは,IE(information elements;MMCに含まれる時間ス ロットの割り当てやDNTS,ホスト情報など)の一つ.