つながるワイヤレス通信機器の開発手法(13) ――ファームウェアを設計する
ハードウェア(ASIC)の設計が終わると,次はその上で制御を行うためのソフトウェア(ファームウェア)の実装である.ワイヤレス通信機器におけるファームウェアは,通信系とアプリケーション系の二つに大別される.ここでは,ハードウェアに近い部分の通信制御を行う通信系ファームウェアの構成や動作検証などについて説明する. (編集部)
ファームウェアはCPUとアプリケーション・ソフトウェアの間に位置しており,ワイヤレス通信機器の基本機能をソフトウェアの面でサポートする.ファームウェアには,通信系ファームウェアとアプリケーション系ファームウェアが存在する(表1).
アプリケーション系ファームウェアは,パソコンで用意されているものと機能的には同一である.しかし,パソコンと比べて使用できるメモリやCPUパワーなどのリソースが少ない.例えば,最近のパソコンは動作周波数が1GHz,2GHzといったCPUと数百Mバイトの作業用メモリ,数十Gバイトのハード・ディスクを搭載している.これに対して,携帯電話の場合,数十MHz~百数十MHzで動作するCPUと数Mバイトの作業用メモリ,数Mバイトのフラッシュ・メモリを利用して,すべての処理をこなす必要がある.
当然,ファームウェアも少ないリソースの制限の中で動作するので,パソコンの場合とは異なる最適化が必要になる.ただし,組み込みLinuxやWindows CEなどの普及によって,アプリケーション系ファームウェアはパソコン用アプリケーション・ソフトウェアと似た構造になりつつある.
アプリケーション系ファームウェアについては多くの雑誌記事などで取り上げられているので,説明はそちらに譲るとして,ここでは通信系ファームウェアについて説明する.
通信系ファームウェア |
アプリケーション系ファームウェア |
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