つながるワイヤレス通信機器の開発手法(13) ――ファームウェアを設計する
● メッセージの生成や送受信などがファームの役割
図5と図6からわかるように,SB1,SB2,SB3,SB4,ACCHなどの各メッセージにより状態が遷移する.なお,付随制御メッセージACCHには無線管理(RT:radio frequency transmission management),移動管理(MM:mobility management),呼制御(CC:call control)に必要なメッセージが含まれる.
RT,MM,CCは,携帯電話機器のレイヤ3の機能を持つ.RTは無線回線の設定,維持,切り替え,切断を行う機能を備えている.MMは位置登録機能と認証機能を,CCは回線呼制御に関する機能を持つ.メッセージの数はARIB STD-27Fによって定められており,RTでは約40,MMは約30,CCは約20である.主なメッセージを表2に示す.
レイヤ3のファームウェアは,表2のメッセージを生成,送信/受信,解析することで,RTやMM,CCの機能を実現する.レイヤ2ではレイヤ3のメッセージをレイヤ1のフォーマットに合わせるために,分割・組み立てを行う.こうしたレイヤ2の処理も,通常はファームウェアで実現する.
機 能 |
メッセージ |
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無線管理(RT) |
無線回線の設定,維持,切り替え,切断 | 発信無線状態報告,ページング,着信無線状態報告,レベル測定要求,レベル測定応答,無線チャネル指定,切り替え先無線チャネル指定,システム情報,システム情報確認,無線チャネル切断,無線チャネル切断確認など |
移動管理(MM) |
位置登録,認証 | 認証要求,認証応答,位置登録要求,位置登録受け付け,位置登録拒否,ユーザ登録要求,ユーザ登録応答,ユーザ登録拒否など |
呼制御(CC) |
回線呼制御 | 呼び出し,呼設定受け付け,応答,応答確認,経過表示,呼設定,切断,解放,解放完了など) |