つながるワイヤレス通信機器の開発手法(13) ――ファームウェアを設計する

太田 博之

tag: 組み込み

技術解説 2004年9月16日

2.ファームとハードの協調動作

 ここまで説明してきた通信系ファームウェアの機能は,ハードウェアとの協調動作によって実現される.

 ここでは,ハードウェアとファームウェアの協調動作について,図5で説明した送信タイミングの調整を例に説明する.ディジタル携帯電話の場合,一つの周波数を複数の携帯電話がタイミングをずらしながら共用している.このため,それぞれの携帯電話はほかの携帯電話の通信を干渉しないように,基地局の指示に従って送信タイミングを調整するしくみになっている.送信タイミングの設定は,SB3とSB4の授受,高周波回路の制御によって実現する.

 このようすを図8に示す.図5のように,通信起動時は同期バースト(SB3)によって,通信中はハウス・キーピング・チャネル(RCH)内のメッセージを通して,基地局から送信タイミングを指示される.

 ハードウェアは,受信したSB3とRCHのメッセージをチャネル・デコーダで切り出し,リード・レジスタを介してファームウェアにタイミング指示のメッセージを伝達する.ファームウェアは,タイミング指示のメッセージに従ってライト・レジスタを通じて送信タイミングを調整する.こうして適正なタイミングで送信を行い,ほかの携帯電話の通信を干渉しないようにする.

 レジスタについては非常に多くの種類がある.第2世代(2G)携帯電話のメインLSIの通信にかかわるものだけでも表3のようなレジスタがある.ファームウェアは,これらのレジスタと協調して処理を実現する.

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〔図8〕ファームウェアとハードウェアの協調動作
ハードウェア(リード・レジスタ)からファームウェアにタイミング指示のメッセージを伝達し,ファームウェアはメッセージに従ってライト・レジスタを通じて送信タイミングを調整する.

〔表3〕第2世代携帯電話のメインLSIレジスタの例

受信系
受信制御,同期ワード表示,スロット設定,同期ワード・エラー設定,同期バースト情報,カラー・コード表示,エラー・ビット表示,スクランブル・パターン表示,受信データ表示
送信系
送信制御,同期ワード設定,同期バースト情報設定,カラー・コード設定,スクランブル・パターン設定,送信タイミング設定,送信データ設定
システム制御
外部インターフェース・タイミング制御,モデム・インターフェース制御,初期化,テスト・モード設定,割り込み設定
組み込みキャッチアップ

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