プリント基板設計を始めるにあたっての検討事項 ――自分のしごとに合った分業方法とCAD環境を選択する
2)直列分業
直列分業とは,基板の設計工程の前段階である部品配置までを回路技術者が担当するというやり方です.
配線の長さや引き回しは部品配置に依存するため,基板の性能は部品配置のよしあしに大きく左右されます.また,部品配置は配線よりも機構的な制約を受けやすいため,機構設計者とのすり合わせがしやすい社内で行ったほうが効率的です.さらに,高速に動作する基板に対して動作の保証が必要です.自分で部品配置を行うと,おおよその配線長がわかるため,配線の特性インピーダンスの期待値を当てはめれば,信号の劣化を予測することが可能です.そして,委託した基板設計がしあがったあと,基板データを読み込み,実際に引かれた配線パターンをシミュレーションすることができます.
このように,プリント基板設計ツールを使って自分自身で配置作業を行うと,プリント基板の特性の管理が容易になります.この分業を行う場合の最大の障害は,委託先とCADデータの互換性が必要になることです.委託先との連携を密にしようとすればするほど,データの一貫性を保つことが重要になってくるため,結局は委託先と同じCADツールを使用することが必要になってしまいます.