プリント基板設計を始めるにあたっての検討事項 ――自分のしごとに合った分業方法とCAD環境を選択する
● 基板設計の分業モデルを見直す
プリント基板技術者と回路技術者のしごとの分担には,いくつかの方法が考えられます(図2).
1)並列分業
並列分業とは,設計工数の大きな基板と小さな基板を分け,大きな基板の設計を外部に委託し,小さな基板は自分で設計するという分業です.
機構的な制約や熱的な制約のある基板は,規模が小さくても綿密に仕様のすり合わせをしなくてはなりません.基板技術者と打ち合わせをしながら,これくらいの規模の基板なら自分で設計したほうが手っ取り早いと思うことがよくあると思います.一方,規模が大きくて密度の高い基板は,回路技術者の負担が大きくなりすぎるため,今までと同じように外部に委託します.
図2 プリント基板設計の分業
(a)の並列分業では,複雑な基板の設計は専門の基板技術者にまかせ,シンプルな基板だけを自分で設計する.この場合,回路技術者が使用するCADツールは,高機能なものである必要はない.また,基板技術者が使用するCADツールとのデータの互換性は不要.(b)の直列分業では,1枚の基板の設計を回路技術者と基板技術者が分担して設計する.回路技術者が部品配置までを行い,基板技術者はそのデータを受け取って配線以降の設計作業を行う.この場合,回路技術者が使用するCADツールと基板技術者が使用するCADツールの間のデータの互換性が必要になる.