ソフト・マクロのCPUでLinuxを動かす(前編) ――FPGAベースのボード・コンピュータを設計する

川岡 圭一

tag: 組み込み 半導体

技術解説 2004年8月16日

1. 組み込みボードの多様なニーズ

 従来の組み込み機器向けの汎用CPUは,内蔵されている周辺I/Oが固定されています.これは設計しようとするアプリケーションに対して,最適な構成にはならないことを意味します.時にはハードウェア開発者またはソフトウェア開発者が職人技のようなくふうを凝らすことさえあります.かといって,独自に専用のマイクロプロセッサを開発することは,現実的でない場合がほとんどです.

 このような問題を解決する一つの手段がFPGAです.FPGAとソフト・プロセッサを組み合わせることで,周辺I/Oをカスタマイズしたマイクロプロセッサになります.アドレス割り付けやI/Oピンを,アプリケーションにとってつごう良く設定することができます.

 組み込み機器を開発するうえでは,ソフトウェアについても考えなくてはなりません.これについては,広く使われているOSを搭載することで,既存のデバイス・ドライバや通信プロトコル,音声や画像のエンコーダ/デコーダ,ファイル・システムなどの資産を利用することができます.

 組み込み機器では,長期にわたる安定供給が必須条件の一つです.汎用CPUを用いる場合,部品の製造中止などを見越して,多量の部品在庫を抱える必要がありました.同等品が見つかったとしても,ソフトウェアの変更が必要になる場合がほとんどです.最悪の場合,システム全体の再設計を迫られることもありました.これに対して,ソフト・プロセッサであれば,製造中止になる心配はありません.FPGAは比較的長期間に渡って供給されています.たとえ生産中止になってしまっても,適当な新しいデバイスに置き換えるだけで,同じ機能を実現できます.FPGAは年々大規模化,低価格化,高速化していますが,旧世代の回路と同じ機能を実現するだけなら障害は少ないでしょう(図1)

 ソフト・プロセッサと汎用OSの組み合わせは,組み込み機器で求められる多様なニーズへの対応方法の一つと言えるでしょう.

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図1 FPGAにソフト・プロセッサを組み込むメリット
使用していたデバイスが生産中止になってしまっても,適当な新しいデバイスに置き換えるだけで,同じ機能を実現できる.

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