ソフト・マクロのCPUでLinuxを動かす(前編) ――FPGAベースのボード・コンピュータを設計する
3. 試作から量産へ
本ボードは,Spartan-3を採用することを前提として企画されたものです.Spartan-3はBRAMの容量アップ,乗算器の内蔵,DCM(Digital
Clock Manager)による動作クロックの可変など,ソフト・プロセッサを動作させるのに適したFPGAと言えます.
開発当初はSpartan-3が入手しにくかったため,入手の容易なSpartan-II Eを使用して試作を進め,Spartan-3が入手できた段階で量産仕様のボードを設計することにしました.Linuxを動作させるソフトウェア開発をより早く開始するためにも,入手可能なFPGAで試作しておくことが重要でした.このような開発手法を採ることができるのも,FPGAならではのことといえます.
本稿執筆段階では,Spartan-3を使用した量産仕様のボードの評価を始めています.評価結果は後編で紹介する予定です.合わせて,Linuxの実装,ネットワーク対応機器への応用事例を紹介します.
参考・引用*文献
(1) Xilinx;Spartan-IIE 1.8V FPGA Family:Complete Data Sheet.
(2) Xilinx;Spartan-3 FPGA Family:Complete Data Sheet.
(3) Xilinx;MicroBlaze Processor Reference Guide.
(4) Xilinx;Logic Core Product Overview.
(5) 東京エレクトロンデバイス; TE7720 DATA SHEET.
かわおか・けいいち
(株)アットマークテクノ
<筆者プロフィール>
川岡圭一.電子回路設計者.しごとの合間に,おもしろそうな部品を探している.今回のボードと接続して,いろいろなものを製作したいと考えている.