ASIC量産設計に取り組むにあたっての心がまえ ──映像と通信が融合する"ディジタル新時代"に求められる技術者像

岡本光正

tag: 半導体

技術解説 2003年11月27日

 ここでは,大量生産される電子機器の中核となるASICを開発するにあたって,設計技術者に求められる素養や技能について説明する.設計技術者には,開発目標となる製品についての知識はもちろん,それらの製品や要素技術の将来動向を見通す先見性が要求される.また,量産ASICの開発では,歩留まり,すなわち回路設計余裕度(マージン)を意識した設計が重要になる.機能や性能に加えて,歩留まりもまた,その製品の成否を左右する重要な要素となる.  (編集部)

 パソコンはもちろんのこと,DVDプレーヤやディジタル・カメラなど,大量生産されるディジタル情報家電機器には大規模なASIC(application specific integrated circuit;特定用途向けIC)が必要不可欠になっています(写真1図1).言い換えれば,「大規模ASICの機能や性能が情報家電機器の価値を決める」と言っても過言ではない時代になってきたということでしょう.これは,ディジタル技術の発展による高度なサービスの出現により,従来のような,だれにでも手に入る汎用半導体部品を組み合わせるだけでは,特徴のある製品を作り出せなくなってきたということです.

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〔写真1〕最近の大規模ASICの例
MPEG-2 CODEC(coder / decoder)のASIC.東芝のMePプロセッサ・コアを6個使用している.そのうちの4個を使って映像データの圧縮・伸張を行う.ほかの1個はオーディオ・データの圧縮・伸張,最後の1個はシステム全体の制御を行う.このASICの規模は約350万ゲート.

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〔図1〕ディジタル情報家電機器のASIC規模
ネットワーク接続対応のディジタル情報家電機器に搭載されるASICの回路規模は,映像機能と通信機能から推測できる.DVDプレーヤ用ASICでは,MPEG-2デコーダと周辺機器接続の低速通信インターフェースで構成され,約400万~500万ゲートの規模となる.さらにDVD録画機能を持ったDVDレコーダでは,MPEG-2エンコーダが追加されるとともに,Ethernetなどの高速通信機能が必要となるため,700万~800万ゲートの規模となる.MPEG CODECを持たないセットトップ・ボックスは200万~300万ゲートの規模となり,HD(high definition;ハイビジョン解像度)の映像データを複数本処理するホーム・サーバ用ASICの規模は1,000万ゲートをはるかに超える.

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