ASIC量産設計に取り組むにあたっての心がまえ ──映像と通信が融合する"ディジタル新時代"に求められる技術者像
ここでは,大量生産される電子機器の中核となるASICを開発するにあたって,設計技術者に求められる素養や技能について説明する.設計技術者には,開発目標となる製品についての知識はもちろん,それらの製品や要素技術の将来動向を見通す先見性が要求される.また,量産ASICの開発では,歩留まり,すなわち回路設計余裕度(マージン)を意識した設計が重要になる.機能や性能に加えて,歩留まりもまた,その製品の成否を左右する重要な要素となる. (編集部)
パソコンはもちろんのこと,DVDプレーヤやディジタル・カメラなど,大量生産されるディジタル情報家電機器には大規模なASIC(application specific integrated circuit;特定用途向けIC)が必要不可欠になっています(写真1,図1).言い換えれば,「大規模ASICの機能や性能が情報家電機器の価値を決める」と言っても過言ではない時代になってきたということでしょう.これは,ディジタル技術の発展による高度なサービスの出現により,従来のような,だれにでも手に入る汎用半導体部品を組み合わせるだけでは,特徴のある製品を作り出せなくなってきたということです.