ASIC量産設計に取り組むにあたっての心がまえ ──映像と通信が融合する"ディジタル新時代"に求められる技術者像
●量産ASICの設計技術者に要求される二つの素養
このように大量生産される大規模ASICを設計する技術者には,次のような素養が必要とされています(図2).
まず,ASIC設計者は開発目標となる製品に精通していることが要求されます.製品の付加価値となる機能や性能,それらを実現する回路構成を熟知しておかなければなりません.もちろん,それらの回路を半導体上で効率良く実現するための半導体技術の知識も必要です.また,実際の設計には,多くの機能を集積した半導体回路が正しく動作することを検証するための手法やEDAツールを高度に使いこなす能力も必要でしょう.
次に必要となるのは,開発目標となる製品やASIC技術の将来を予測する技能です.ASIC開発は大規模になればなるほどその期間が長くなります(図3).開発を開始した時点では先進的な技術であったはずのものが,開発が完了した時点では陳腐化してしまっていた,ということもまれではありません.逆に,容易に実現可能だろうと予測した技術が,実際には実現困難だったという事態も起こります.