つながるワイヤレス通信機器の開発手法(1) ――仕様を理解する
○● COLUMN ●○
メーカが仕様を提案するメリット
仕様策定時には複数のメーカがいくつもの方式を仕様候補として提案する.仕様策定機関(Bluetooth SIG,IEEEなど)は仕様候補の一部を採用したり,いくつかの候補を融合した新たな方式を採用し,最終的な仕様とする場合がある.最終仕様として採用された方式を提案したメーカには以下のようなメリットがある.
1)仕様決定時にはすでに試作・評価が終わっている
2)提案方式に含まれる知的所有権を保持,行使できる
最近は仕様の普及を促進するため,2)の知的所有権(特許など)の権利は策定機関に留保する場合が多いが,それでも1)のメリットは残る.
このようなしくみになっているので,仕様が決定した直後に仕様に準拠した製品が市場に供給される場合がある.
昨年(2001年)末に仕様が決定した802.11g(2.4GHzに対応したワイヤレスLANの高速版)はIntersil社が提案するOFDM方式と米国Texas Instruments社が提案するPBCC方式を併記する形になったが,Intersil社とTexas Instruments社の両社とも,今年(2002年)の春にはサンプル出荷を開始すると発表している.