つながるワイヤレス通信機器の開発手法(1) ――仕様を理解する
●理解できたと思ったら,ほかの人に説明してみる
理解したつもりでいても,他人に説明してみると案外うまく説明できないものだ.他人にうまく説明できないうちは,理解できていないものと思ったほうが正解である.
●グループ学習では必ず先行で調査する人を決める
上記のコツと同じように,読み合わせを行い,グループ内で話し合いながら進めていくことは,仕様を理解するうえで非常に有効な手段である.
しかし,グループによる作業は責任の所在があいまいになりやすく,難しいところが最後まで理解できずに残ってしまう場合が多い.また,もともと難しく根気のいる作業なので,ただ時間を取って集まるだけではなかなか理解が深まらず,時間のむだになる場合が非常に多い.
このような事態に陥らないためにも,章ごとの持ち回りでいいので,先行して調査する人を決めて作業を進める方法が良い.
●セミナなどをうまく活用すればコスト削減になる
仕様書を理解することは多くの時間が必要であり,その時間を買うつもりでいれば,セミナやトレーニング,コンサルタントなどの外部の力を使うことが理解への近道になる.
簡単にコストを計算してみる.平均的なエンジニアの1日当たりのコストは会社,年齢にもよるが約5万円/日程度である.仕様書を理解するのに3人の人数で10日間かかったとしたら,それだけで150万円投資したことになる.
このコストの一部をセミナへの参加費に充てることを考えてみる.例えば,セミナに参加して10日間かかる作業が8日間で終わるとすると30万円程度のコスト削減になる.筆者も年間で数本から10本程度セミナの講師を務めるが,そのセミナへの参加費は1人数万円程度である.30万円かけるとすると,かなりりっぱなセミナに参加できることを覚えておいてほしい.