つながるワイヤレス通信機器の開発手法(1) ――仕様を理解する

太田博之

tag: 組み込み

技術解説 2002年9月 3日

●仕様の入手のしやすさが規格普及の一因となる

 以前と比べると,小さい会社やその業界の新参企業でも,通信機器の開発を容易に行えるようになってきた.その大きな一因は,仕様が入手しやすくなったことにある.BluetoothもワイヤレスLANも,簡単な登録だけで,無料でホームページから仕様書をダウンロードできる場合がある.もしくは購入するにしても数万円程度でだれでも仕様書を入手できる.

 もちろん,セキュリティ関連については制限が厳しく,ある一部の人しか見ることができない仕様もある.しかし,その仕様は一部のパラメータを規定しているだけの場合が多い.したがって,そういった厳しい制限のある仕様がなくてもある程度の開発を行うことはできる.

 このような風潮はW-CDMAの仕様作成のころから一般的になってきたようだ.国際連合の1機関であるITU(International Telecommunication Union)では,各国の立場や力関係が強く働くため,仕様策定に時間がかかりすぎる.そこでITUは多くの企業,団体が自由に参加できる団体を作って,そこで仕様を策定することにした.それらの団体で策定された仕様を最終的にITUまたは,各国の公的機関(日本の場合は総務省)が認定する形をとることにしたのである.

 この団体が3GPP(3 rd Generation Partnership Project)と3GPP2である.この団体には多くの企業や公的機関が参加している.またWebサイトではミーティングの議事録やドラフトの仕様を公開しており(一部パスワードが必要なページもある),インターネットさえつながっていれば,どこにいても必要な情報を入手できる.

 Bluetoothの場合も同様である.Bluetoothの場合,9社のPromoter編集部注2が中心になりBluetooth SIG(Special Interest Group)を運営している.Bluetooth SIGは上記のPromoter以外に,仕様策定に参加できる100社以上のAssociatesと2,000社を超えるAdaptorで構成されている.こちらもインターネット上にWebサイトを開設しており,いつでも仕様を入手することが可能になっている.

 また,Bluetooth SIGは仕様策定作業以外にメンバの交流とSIGの外に対する啓蒙とアピールの場として,年に数回の集会やDevelopers Conferenceを開催している.このように通信の世界ではなるべく多くの企業や団体が参加して普及を促進するしくみが多く用意されている.仕様の入手が容易なのも普及,促進のための一つのサービスだととらえることができる.以下に主な規格の入手が可能なWebサイトを紹介する.

 編集部注2;Promoter 9社とは,米国3Com社,米国Agere社,スウェーデンEricsson社,米国IBM社,米国Intel社,米国Microsoft社,米国Motorola,フィンランドNokia社,東芝である.

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