高速化が図られ用途も広がるシリアル・インターフェースの世界
●IEEE 1394とその開発環境
IEEE 1394では,最初に発売された仕様の後,IEEE 1394aとIEEE 1394bが発表された.IEEE 1394aで速度は800Mbpsに引き上げられ,IEEE 1394bではその最大可能性が3.2Gbpsにまで高められた.現在のコネクタ技術では,1.6Gbpsが現実的な数字である.後で出された二つのバージョンでは,初回仕様に関連するいくつかの問題とあいまいさが解決された.また無線IEEE 1394規格についても検討されているが,現在はまだこれからという段階である.
IEEE 1394のソフトウェア側を見ると,米国Microware Systems社は,リアルタイムのアプリケーションに対するシリアル・バスの必要性に着目した.IEEE 1394が保証する帯域幅は,それがリアルタイム・アプリケーションに必要なものとして決定されたが,事実,決定要因となる性質のものだった.その結果,Microware社が提供するリアルタイムOSであるOS-9にIEEE 1394をサポートする機能が組み入れられた.
Microware Systems社のsystem architectであるSailesh Rathi氏は,「リアルタイム環境では,各機器が動的に取り外したり挿入することができないスタティック(静的)リンクをもつリアル・ネットワークよりも,バスに基づくネットワークのほうが有利だ」と提案する.
Microware社では,トランザクション層とシリアル・バスの管理ソフトウェアから,リンク層,物理層のドライバまでを提供している.同社はまた日立製作所の32ビットRISC型組み込みプロセッサSuperHで動作するIEEE 1394システム開発キット(SDK)も発売している.これは,OS-9の組み込み用リアルタイムOSとCPUの統合開発環境(IDE)を結びつけるものだ.
SDKにはプロトコルとアプリケーションを開発するためのAPIサポート,カスタム・ハードウェア開発のためのリファレンス・ドライバと,ネットワーキング・ソフトウェアが含まれている.
●家電向けHAVi
需要が伸びそうなもう一つのIEEE 1394準拠のアプリケーションとして,米国ホーム・オーディオ・ビデオ・インターフェース(HAVi)コンソーシアムが推進している"HAVi"がある.これは家電市場をターゲットとしたものである.予測されるとおり,このコンソーシアムのメンバの大半は家電メーカとなっている.
HAViは,家庭向けの娯楽ネットワークをターゲットにしており,異なる機器で資源を共有することを目的としている.一例をあげると,クロックの共有である.VTRと音楽システム,テレビのクロックなど,すべての機器のクロックを同期させる.これにより,ある機器から別の機器へのデータの受け渡しが大幅に単純化されるという.