EVフォーミュラ,車検との戦い ―― 第9回 全日本 学生フォーミュラ大会(2)
ブレーキ・テストは簡単に見えて,意外に難しいようだ.実際,ここでクリアできないフォーミュラ・カーが何台も出た.同じブレーキ・ユニットを四つ使っていても,前輪だけロックしない,後輪だけロックしない,一つの車輪だけロックしない,などということが起こる(写真17,写真18).もちろん,調整し直して,何度でも再チャレンジできる.
写真17 左前輪がロックせず不合格(写真はEVではない)
左前輪の審査員が,手で×を示している.

写真18 合格!(写真はEVではない)
4人が手を挙げて,それぞれの車輪のロックを確認した.

EVのブレーキ・テストで驚いたことがある.ガソリンのフォーミュラ・カーは短距離でスピードを出すため,スタート直前にエンジンを噴かして大きな爆音がする.しかし,EVはまったく音もせず,スーゥと一気に加速して出るのだ.頭では分かっているはずなのだが,そこが,何かおかしい....
●この日に車検をパスしたEVは?
さて,この日の夕方のEV事務局の白板を見てみよう(写真19).
写真19 大会2日目のEV車検の結果

静岡大学と静岡理工科大学の2チームが車検を通過している.東京大学はブレーキ・テストでつまずいている.金沢大学は翌朝に車検を予約している.
明日の朝のデモ走行であるアクセラレーション(直線走行),スキッドパッド(8の字走行)には,今のところ2校が走行できることになった.東大は日没までにブレーキ・テストを通過したい.金沢大は,明日午後3時のオートクロス走行(800m走行)にはなんとか間に合わせたい,と,緊張感が高まってきた.
金沢大学は夕方からスタッフが増強され,追い込んできている.ガソリン車のチームから助っ人が来たからだろうか.
やがて日没の時刻となり,車検場が終了した.金沢大と東大の勝負は,明日へ持ち越された.
(第3回につづく)
まの・もとき