EVフォーミュラ,車検との戦い ―― 第9回 全日本 学生フォーミュラ大会(2)
●パワー・エレ系をボディに組み込む ―― 金沢大学
金沢大学フォーミュラ研究会.ここも真剣に組み立てていた.パワー・エレ周りは,ダイキン工業のサポートを受けているとのことだが,ブラックボックス化せずに(?)自分たちでボディの中に組み込んでいるようだ.
モータは,米国Kinetek/Advanced Motors & Drives社のブラシ付き直流モータを採用している.36-75Vで駆動するという.電池はリチウム・イオン電池.運転席の左右に分散して置いている.1モータで後輪駆動系である.メカ的にもシンプルで分かりやすい(写真8).なんとか今日中に車検を終えたいとのことだが,間に合うかどうかだ.
写真8 金沢大学フォーミュラ研究会のEV
リア側から撮影.高圧配線部は,オレンジ色のカバーを取り付けて注意を喚起している.

写真9 フロント部の組み立て

●インホイール・モータを採用 ―― 静岡大学
少し離れて,静岡大学「シズオカユニバーシティモータース」のEVのピットがあった.ここも部員たちが真剣に,自動車を組み立てている.
ここのマシンもユニークである.構造は東大のEVと同じく,運転席と制御部が横に並ぶ形である.駆動系は,左右後輪にインホイール直流モータ(16kW)を2個使っている.写真を見ると分かるように,後輪がつながっている中央部にモータ・コントローラ・ユニットが2個並んでいる(写真10~写真12).
写真10 シズオカユニバーシティモータース車体のリア部
スリッグ・タイヤは新品で,ラップを被っている.高圧配線系にはオレンジ色のカバーが付いている.中央フレーム部に二つ筐体があるが,これが左右それぞれのモータ・コントロール部だそうだ.二つを統括する制御系は自作したとのこと(マイコン・ボードを使用).

写真11 運転席は右サイドに置かれている

写真12 詰め込まれたリチウム・イオン・バッテリ
運転席の左サイドには,リチウム・イオン・バッテリが詰め込まれている.かなりの電池の量だ.耐久レース(エンデュランス)で完走するのを目標にしているので,とのこと.

●今大会は早々と断念 ―― 岐阜大学
「岐阜大学フォーミュラJSAEプロジェクトGFR」は黒い重厚なボディのフォーミュラ・カーを持ってきていたが,早々に車検を取るのを諦めたとのこと(写真13).学生は,ガソリン・カーのほうに注力しているのか,誰もいない.
写真13 岐阜大学フォーミュラJSAEプロジェクトGFRのEV
黒い重厚なボディ.ガソリン車のお下がりだという.他校も同じ.
