EVフォーミュラ,車検との戦い ―― 第9回 全日本 学生フォーミュラ大会(2)

真野 もとき

tag: 組み込み 電子回路

レポート 2011年11月28日

●晴れやかな青いボディ ―― 静岡理工科大学

 隣のテントに移ると,淡いブルーの車体が美しい.学生スタッフも同じブルーのポロシャツを着ている,静岡理工科大学の「SIST Formula Project」だ(写真4).皆,車検に向けて黙々と仕事をしている(写真5).モータ&電池周りはダイキン工業から提供を受けたもので,東大とほぼ同じモノだそうだ(後で出てくる金沢大学も同じ).

写真4 SIST Formula Projectの車体
カウル(先頭のカバー)を取り付けてるとカッコイイ! ですね.


写真5 黙々と作業する様子
雨だった前日に組み立てたのか,溝のあるレイン・タイヤを履いていた.その後,晴天用のスリッグ・タイヤに取り換えられた.

 


このチームは,チームの皆が真剣そのもので,ちょっと声をかけづらい雰囲気であった.すでにカウル(車体の先端部分を覆うカバーのこと)が装着されている.車検は一度終了したとのことで,数点の修正箇所を指摘されたが,まもなく対処が完了する,車検の最終項目であるブレーキ・テストを早々に行いたいという.

 モータ,インバータ,電池のパワー・エレ周りは,ダイキン工業から提供を受けているとのこと.あれ,さっきの東大と一緒だ? と思って聞くと,「東大とは同じシステムの提供を受けています.あと金沢大学も提供を受けています」.どうも最初にこのチームがダイキン工業とコラボしていて.せっかく開発するのであれば他校にも提供してもよいということで,東大,金大にも提供されているらしい.

 「回生エネルギはもちろん使っています」,「電池はリチウム・イオン・ポリマで,エンデュランス(耐久)レースで完走できる容量ということで設計しています」とのこと.オーソドックスな仕様で特徴は少ないかもしれないが,淡々と作業を進めている学生達を見ていると,何か落ち着きがある.そういえばこのチームが,昨年のEVデモ走行部門のチャンピオンだった.


●ユニークな四駆構造 ―― 慶應義塾大学

 静岡理工科大学のピットの隣に慶應義塾大学チーム「Keio-Formula.Com」のピット(テント)があり,その真ん中に黒いカウルの付いたマシンがある.しかし,周りに学生がいない.どうしたのだろう?(写真6

 

写真6 Keio-Formula.ComのEVのフロント部
前輪用の交流同期型インホイール・モータが見える.なおピットには学生の姿は見えなかった.眺めているのは見学者たちである.

 


先生が一人いて,「先ほど,電源を入れたときに,煙が出て回路が燃えてしまいました.残念ですが,今回は断念するしかないです」とのことだった.

 マシンを見ると,前輪に小形のインホイール・モータが見える.聞けば,モータはラジコン用のモータだとのこと.後輪もモータが付いているので,四駆である(写真7).動かなかったのがとても残念である.EVでは,トルクを出すために,モータに大電流を流したくなる.そのためにも鉛蓄電池より内部抵抗が少ないリチウム・イオン電池系を使用すると,ちょっとしたミスから大電流を流してしまって,回路やモータを焼いてしまうことが多いとのこと.EVの車検でも,事故のないようチェックされる.

 

写真7 同チーム車体のリア部
後輪も左右それぞれモータが付いている.駆動(モータ+ギア)系,ブレーキ系が左右独立駆動ながら,一体ユニットとしてキレイにまとめられている.

 

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