EVフォーミュラ,車検との戦い ―― 第9回 全日本 学生フォーミュラ大会(2)

真野 もとき

tag: 組み込み 電子回路

レポート 2011年11月28日

 第9回 全日本 学生フォーミュラ大会には6台のEV(電気自動車)がエントリしている(前回の記事はこちら).筆者は大会の会場の端まで歩き,やっとEVフォーミュラのピットにたどりついた.では実際に,EVフォーミュラを見ていこう.

 

●EVらしいマシン ―― 東京大学

 事務局テントの隣では,フォーミュラ・カーをトラックから降ろしたばかりのようだ.しかしテントがない.酷暑の日なたにフォーミュラ・カーを置いていてよいのか心配だ.聞くと,「東京大学フォーミュラファクトリー」だ.「テントがまだ来ない」とのこと.CQ出版社の取材だと告げると,「あ! RXボードを使っていますよ!! 3枚載っけているのです!」.どうやらInterface 2011年5月号の付属基板,ルネサスのRXマイコン・ボードを使っているらしい.どこにその基板が入っているのか聞くと,「このアルミのボックスの中に入っています.開けてみましょう!」.これから車検だろう,忙しくないのかい,と聞いても「まったく問題ありません」と,アルミのふたを取ってくれた(写真1写真3).

 

写真1 東京大学フォーミュラファクトリーの制御ボックス
アルミの「弁当箱」の上にZigBeeのモジュールが見える.弁当箱を開けてみると....


写真2 制御ボックス内にRX基板3枚を発見
制御ボックスの下にはチェーンが見える.このチェーンでモータ回転を減速して,後輪を駆動している.


写真3 マシンの運転席と電池・制御系
このマシンは,ともかく横幅が広い.運転席は左側に置かれ,電池・制御系は座席右側に置かれている.

 


アルミ・ボックスからはケーブルがたくさん出ていて,いかにもEVらしく格好いい.RX基板は,モータ制御に使っているのですか?

「いや,じつはデータ・ロガーです.3軸の加速度,温度などのデータを採取して,その上のZigBeeモジュールで無線でテレメータとして飛ばしています」

 データ・ロガー?それだけに?

「...そうなんです.最初はSHを使おうかと考えていたのですが,ちょうどInterface誌でRX基板が付録に付いていました.そのRXがA-Dコンバータを8個も内蔵しているので,これだということで,これを3枚使いました.問題なく動いています.このロガーで集めたデータはこの上にあるZigBeeモジュールからテレメトリとして無線で飛ばして,こっちのノートPCで収集しています.データ・ロガーだけにRXを3個も使うのは,CPUパワーから考えると少しもったいないのですけどね」と笑った.

 東大EVチームの学生は,三つのキャンパス(本郷,駒場,柏)から参加しており,電気電子専攻と情報専攻の学生が多いとのこと.機械系のメンバが少ないのが,ほかのチームとちがうところだそうだ.

 モータ(30kW同期モータ)とその制御部は,ダイキン工業から提供されたものを使っているとのこと.電池はリチウム・イオン・ポリマ4kWhである.

 これからの車検は大丈夫? と聞くと,「おそらくね」と軽い返事だった.そこに,大会事務局のスタッフが自転車でやってきた.明日のEVデモ走行の時間の確認だった.

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