OPアンプとは何か ―― その働きと役目を知る
●出力の一部を帰還すれば非反転増幅回路になる
電圧フォロワでは,出力電圧OUTを反転入力IN-に直接帰還しているので,OUT=IN+となります.電圧フォロワ全体としての利得は1倍で,信号を増幅しません.OUTを減衰させてからIN-に帰還すれば,IN+より大きい出力電圧OUTを得ることができます.
OUTを1/kに抵抗分圧してIN-に帰還すると,式(1)にIN-=(1/k)×OUTを代入して,
OUT=A×{IN+-(1/k)×OUT}
すなわち,
(1/k+1/A)×OUT=IN+ ・・・・・ (4)
となるので,A→∞の極限を取れば,
(1/k)×OUT=IN+
すなわち,
OUT=k×IN+ ・・・・・ (5)
となり,出力OUTは常にIN+のk倍になります.Aが有限でも,kより十分に大きければ,誤差項(1/A)×OUTは無視できます.
この回路は,負帰還によって(1/k)×OUTとIN+を一致させています.OPアンプは(1/k)×OUTとIN+の電圧差を増幅しているだけで,IN+を増幅しているわけではありません.しかし,結果としてIN+をk倍に増幅しているように見えるので,非反転増幅回路と呼ばれています(図6).
非反転増幅回路は,電圧フォロワと同様の電圧制御電圧源で,制御電圧IN+に比例した出力電圧OUT=k×IN+が得られるものです.比例定数kは,OUTを1/kに抵抗分圧したことに由来するので,
1/k=R1/(R1+R2)
すなわち,
k=(R1+R2)/R1=1+R2/R1
です.