OPアンプとは何か ―― その働きと役目を知る
●電圧フォロワは最も基本的な負帰還回路
OPアンプが二つの入力ピンをもっているのは,与えられた入力値と,OPアンプ自身が作り出す出力値を比較するためです.この二つを一致させるのが負帰還の働きです.
OPアンプの出力OUTを反転入力IN-に接続すれば,最も基本的な負帰還回路になります(図4).OPアンプはIN+とOUTを比較して,その差を無限大倍に増幅したものをOUTに出力します.もしOUT>IN+であれば,OUTは-∞に発散しようとして下降しますが,すぐにIN+と一致するので下降が止まります.逆に,OUT<IN+であれば,OUTは+∞に発散しようとして上昇しますが,すぐにIN+と一致するので上昇が止まります.
すなわち,OPアンプは出力OUTを常にIN+に近づける方向に動かし,自動的に一致させます.OPアンプ自身は単に誤差を増幅し続けているだけですが,負帰還回路ではそれを利用して自動的に誤差を0に保ち続けます.
この回路の動作の式は,式(1)にIN-=OUTを代入して,
OUT=A×(IN+-OUT)
すなわち,
(1+1/A)×OUT=IN+ ・・・・・ (2)
となるので,A→∞の極限を取れば
OUT=IN+ ・・・・・ (3)
となります.Aが有限でも十分に大きければ,誤差項(1/A)×OUTは無視できます.
このように,負帰還をかければ出力OUTと反転入力IN-の関係が決まるので,それによってOUTの値が確定します.この回路は,与えられた入力電圧IN+と全く同じ出力電圧OUTを作る回路です.IN+が変化すればOUTはそれに追従(follow)して変化し,常に一致した状態を保ちます.それで,一般に電圧フォロワ(follower)と呼ばれます(図5).
また,この回路は入力電圧IN+によって制御され,出力電圧OUT=IN+を作り出す電圧源と見なせるので,電圧制御電圧源(VCVS:Voltage Controlled Voltage Source)とも呼べます.OPアンプは誤差を検出するエラーアンプであり,かつ出力電圧を生成する電圧源として働きます.