オムロンが開発中のMEMSデバイスを多数展示 ―― 第22回マイクロマシン/MEMS展レポート

福田 昭

tag: 半導体 電子回路

レポート 2011年7月20日

 マイクロマシン/MEMSの製品と技術に関する展示会「第22回マイクロマシン/MEMS展」が,2011年7月13日~15日に東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催された(写真1).

 

写真1 第22回マイクロマシン/MEMS展の来場者登録受け付け所

 

 マイクロマシンあるいはMEMS(Micro Electro Mechanical Systems,「メムス」と読む)とは,微小なセンサやアクチュエータなどを意味する.シリコンやガラス,有機材料などをベース(基板)にして作製することが多い.大きさはせいぜい,数mm角しかない.非常に小さな部品である.

 マイクロマシン/MEMSの作製には,多くの場合,半導体の製造技術を基盤とする独自の製造技術を利用する.大量生産に適した技術なので,量産規模の拡大によって部品単価をきわめて低くすることができる.またシリコンやガラスなどの基板を張り合わせることで,シリコン部品とガラス部品の両方の機能を備えた多機能部品を作れる.第22回マイクロマシン/MEMS展では,こういった微小な部品の最新製品や開発成果などが展示されていた.

●モバイル機器用の低電圧RFスイッチを展示

 なかでもMEMSセンサのモジュールを数多く参考展示していたのがオムロンである.非接触温度センサ,多機能センサ・モジュール,モバイル用RFスイッチ,加速度センサ,絶対圧力センサ,振動発電モジュールを参考展示した.いずれも開発中のMEMSデバイスやMEMSモジュールである.

 非接触温度センサは,シリコンの中空構造の上部に赤外線の吸収材料を配置することで,人体が発する赤外線を吸収する(写真2).センサとマイコンを同じプリント基板上にまとめており,マイコンで温度を計算して出力する.展示ブースでは,1×8個のセンサ・アレイの出力を液晶モニタに表示していた(写真3).センサの上に指をかざすと,測定値(温度)が上昇する.センサ・アレイのレイアウトは変えられるとしており,例えば16×16個のセンサ・アレイも作れるという.

 

写真2 MEMS非接触温度センサの説明パネル

 


写真3 非接触温度センサの計測デモンストレーション
1×8個のセンサ・アレイで温度を測定してみせた.手前が温度センサのモジュール.奥にある液晶モニタの緑色の棒グラフが,温度の測定結果.1本の棒がセンサ1個の出力に対応する.

 

 多機能センサ・モジュールは「スマートセンシングモジュール」の名称で展示されていた(写真4).センサや電池,無線通信回路などを直方体の小さな箱に収納したモジュールである.人感センサ,温湿度センサ,気流センサのモジュールをそれぞれ試作し,展示していた(写真5).

 

写真4 多機能MEMSセンサ・モジュール「スマートセンシングモジュール」の説明パネル

 

写真5 試作したモジュール.左から人感センサ,温湿度センサ,気流センサ

 

 モバイル用RFスイッチは,スイッチの駆動電圧が1.6~3.5Vと低いのが特徴である(写真6).オムロンが量産中のMEMS RFスイッチは駆動電圧が34Vと高いので,携帯電話端末やタブレット型端末などのモバイル機器では使いづらい.開発中のモバイル用RFスイッチの挿入損失は3GHzのときに0.3dB,20GHzでも5dBくらいで済むという.スイッチの大きさは2.4mm×1.6mm×0.4mmである.展示ブースではスイッチの製造に使った200mmウェハの実物を展示していた(写真7).ウェハの半分はウェハ・レベルでのパッケージング(ウェハ接合)済みの状態,残り半分はパッケージング前の状態を見せていた.

 

写真6 モバイル用MEMS RFスイッチの説明パネル

 


写真7 左はモバイル用RFスイッチを作り込んだ直径200mmのシリコン・ウェハ.右はスイッチを組み込んだ評価用プリント基板

 

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