OPアンプとは何か ―― その働きと役目を知る

　OPアンプは，さまざまなアナログ回路を作るための基本部品です．OPアンプ回路を理解するためには，OPアンプが回路の中でどんな働きをしているのかを理解する必要があります．そこで，ここではOPアンプとは何か，何をしているのかについて解説したいと思います．  

●OPアンプはひたすら無限大倍に増幅し続けている

　と言っても，その答えはあまりにも簡単です．一言で言えば，OPアンプは二つの入力ピンの電圧差を無限大倍に増幅しています（図1）．どんな回路でも，どんな使い方をしても，これは同じです．

図1　OPアンプの動作は無限大倍に増幅するだけ

　OPアンプを使って何倍の増幅回路を作っても（あるいは電圧フォロワを作っても，加減算回路を作っても，フィルタ回路を作っても，発振回路を作っても，コンパレータ回路を作っても...），OPアンプ自身は無限大倍の増幅を行っています．OPアンプの出力が一定電圧でも正弦波でも方形波でも，0Vに保たれているときでさえ，OPアンプ自身はひたすら無限大倍の増幅を続けています．

　OPアンプの動作の式は，

　　　OUT＝A×（IN+－IN-）　・・・・・　(1)

で表されます．増幅率Aは理想的には無限大です．OPアンプの働きはこれだけです．

　もちろん，現実の素子では無限大の増幅率（利得）は得られないので，大抵のOPアンプICは10万倍（100dB）程度で妥協しています．ローパワー，低電圧や高速，広帯域を特長とするOPアンプICでは1万倍（80dB）程度や，さらに低い増幅率で我慢しているものもあります．しかし，OPアンプ本来の目的を達成するためには，増幅率は大きいほど良いのです．