iPhoneと組み込み技術で未来を考える(3) ―― 組み込みシステムとフェイル・セーフ

久保田 直行

tag: 組み込み

コラム 2010年4月15日

●Case Study 2:ロボットを走らせてバリア・フリー・マップを作る

 フェイル・セーフを考える上で,最も重要なことは,フェイル・セーフの対象者です.冒頭でも述べましたが,従来は,企業や社会から提供する安全の確保が重要でしたが,最近では,個人レベルでの安全管理や危機管理の必要性が増しています.つまり,自ら危険に遭遇しないための工夫,危険に遭遇した場合の個人的な対応が非常に重要になっています.たとえば,iPhoneを用いて自ら危険に遭遇しないよう工夫した例として,社会生活弱者のためのバリア・フリー・マップを用いたナビゲーションなどが考えられます.

 既にGoogleからも提案されていますが,Google mapのストリート・ビューを用いると,通りに立った目線と同じ高さで世界を見ることができます(2)図7に表示されたGoogle mapでの道路に関する情報を,ストリート・ビューで見てみると図8のようになります.



図7 Google map上に表示された「道幅が狭く危険」の文字

 




図8 Google mapのストリート・ビューで見た映像

 


 直感的に非常に分かりやすいものですが,たとえば,車いす型の移動ロボットなどで実際に走行させたりできると,バリア・フリーの程度が分かります.これを世界中で行うのはコスト的にも難しいですが,たとえば,大規模な施設内で実施して,詳細なログ・データと合わせて評価することが考えられます.この評価に基づき,バリア・フリー・マップなどの名称とは別に,例えば,移動に対する快適さの度合いを考慮した「快適マップ」などの名称で構築するのもいいかもしれません.さらに,道を歩いている人がワン・クリックで,快適に危険な場所や安全な場所などの情報をマップに登録できるといいですね.

 固定型センサとしてのセンサ・ネットワークと移動型センサとしての移動ロボット,これにiPhoneが加わることにより,多くの人にフェイル・セーフをもたらすことができる時代が想像できます.個人でのフェイル・セーフは,自ら危険に遭遇しないための工夫や危険に遭遇した場合の個人的な対応が重要です.日ごろからポケットの中の小さなiPhoneで大きな安心を準備しておきたいところです.

●参考資料

(1)三菱電機特機システムの全方位移動ロボット;
http://www.melos.co.jp/products/all_azimuth_robo.html
(2)Google mapのストリート・ビュー;
http://www.google.co.jp/help/maps/streetview/

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