ZigBeeモジュールを使用したモデル・ロケット軌道計測システムの製作

松本 哲明

ZigBeeモジュールを使用したモデル・ロケット軌道計測システムの製作 ――1カ月でシステムを組み上げた「チームT・D」のHamana-4参戦記

「チームT・D」は,モデル・ロケットに搭載する飛行観測システムを製作した.ヴィッツが開発した観測モデルのキットをベースに,加速度センサとZigBeeモジュールを搭載し,取得したデータをリアルタイムで地上局に伝送するというものだ.観測システムの重量制限は50g.組み合わせ型の開発により開発期間の短縮を図った.(編集部)

 Hamana-4は,モデル・ロケットを用いた飛行記録の観測システムを開発する教育プロジェクトです.モデル・ロケットに搭載するための観測機器を開発し,飛行中の各種情報(例えば,GPSデータや加速度,地磁気,角速度など)を取得・解析するための,教育環境の場を提供しています.

 参加チームは,ロケット本体の製作(加工)やハードウェア,ソフトウェアを含む観測システムの開発,モデル・ロケットの打ち上げといった一連の作業に携わります.組み込みシステムを丸ごと取り扱える教育の場として,興味深いプロジェクトです.

 筆者は,ひょんなきっかけから,このHamana-4プロジェクトに参加することになりました.

● 始まりはTOPPERSカンファレンス

 2007年6月15日,TOPPERSカンファレンスで行われた抽選会において,筆者は見事に観測キット付きモデル・ロケットを引き当ててしまいました(写真1).これは,ヴィッツが開発したモデル・ロケット搭載用観測モジュールのキットと,Estes社のモデル・ロケット「Baby Bertha」をセットにしたものです.本賞品には,さらに「TOPPERSを代表してHamana-4プロジェクトに参加する」という特典(?)まで付いていました.

写真1 抽選会で当たった「観測キット付きモデル・ロケット」
Hamanaプロジェクトへの参加経験があるヴィッツが,開発した観測モジュールのハードウェアをキットとして提供している.(b)の左が電源+フラッシュ・メモリ基板,右がCPU基板(「H8/3069F」を搭載)である.オプションでセンサ基板も用意されている.

photo01_01.jpg
(a)観測キット付きモデル・ロケットの外観


photo01_02.jpg
(b)観測キットの基板


 これをきっかけに「チームT・D」の活動が始まりました.プロジェクト計画書を作成し,チームT・DとしてHamana実行委員会に提出したのは2007年7月8日です.この時点では,チーム・メンバは筆者のみという状態でした.7月中旬にほかのメンバが決定し,ようやく開発がスタートしました.

● リソース不足を「組み合わせ」で補う

 Hamana-4の公式な打ち上げ日は8月30日であり,開発期間は1.5カ月しかありません.しかも,本業と並行しての作業となります.チーム・メンバは全員多忙で,Hamana-4のための時間がなかなか取れない状態でした.さらに,メンバが東京と名古屋に分散しており,期日までに開発を終えるのは非常に難しい状況でした.

 このため,筆者らは,既に実績のあるソフトウェア・モジュールを組み合わせる"組み合わせ型の開発"によって開発期間の短縮を図ることにしました.

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