ZigBeeモジュールを使用したモデル・ロケット軌道計測システムの製作
● 計測システムの構想
Hamana-4では,モデル・ロケットに搭載するシステム(ペイロード)に何らかのセンサを搭載し,飛行中のデータを記録することが規定されています(図1).ヴィッツ製の観測モジュール・キットにはフラッシュROMが搭載されており,測定したデータをこのフラッシュROMに記録することを想定しています.しかし,ほかのチームの計画書を見ると,既に同じようなシステムを採用しているチームがありました.ほかのチームと異なるシステムを開発したいと考え,別の方法を検討した結果,無線通信によって計測データをリアルタイムで地上局に伝送し,地上局でデータを記録することにしました(図2).この方法ならフラッシュROMのデバイス・ドライバが不要なので,開発するソフトウェアのボリュームも削減できます.
図1 Hamana-4レギュレーション(抜粋,要約)
全文はhttp://www.hamana-x.com/wiki/wiki.cgi?page=Hamana4regulationで参照できる.
図2 開発するシステムの全体像
計測データを無線通信によってリアルタイムにモデル・ロケットから地上局に伝送し,地上局でデータを記録する.
● 無線通信方式の選定
利用可能な無線通信の候補として,携帯電話やPHSのデータ通信,UWB(Ultra Wideband),Wi-Fi(IEEE802.11a/b/g),Bluetooth,ZigBee(IEEE 802.15.4),特定小電力無線を検討しました(図3,表1).モデル・ロケットに搭載することから,以下の条件を満たすことが必須であると考えました.
図3 無線通信方式の比較
名 称 | 伝送速度(bps) | 伝送距離(m) | 消費電力 | 備 考 |
UWB | 480M | 30 | 大? | モジュールが存在しない |
Wi-Fi(802.11a/b/g) | 11M~54M | 100 | 大 | 小型モジュールがない |
Bluetooth | 1M | 10 | 中 | ― |
ZigBee(802.15.4) | 250K | 100~300 | 小 | ― |
携帯電話 | 64K | サービス・エリア内 | 大 | ― |
PHS | 64K | サービス・エリア内 | 中 | ― |
特定小電力無線 | 100K~1M | 30~250 | 小 | 2.4G SS方式のモジュール |
表1 各無線通信方式の特徴
- 伝送距離は200m以上(ロケットの飛行距離を考慮)
- 伝送速度は38,400bps以上(理由は後述)
- 消費電力が低いこと
- 軽量であること
- 日本国内の法基準に適合していること