HDMI登場の背景と概要 ―― 映像インターフェースの推移から学ぶ

柴田 修

tag: 実装 電子回路

技術解説 2008年6月10日

HDMI(High-Definition Multimedia Interface)は,最近の薄型ディジタル・テレビやDVDプレーヤ,ゲーム機などに備えられた,ハイビジョン映像と音声を1本のケーブルで伝送できるインターフェースである.自宅のAV機器などで目にしたことがある方も多いのではないだろうか.本稿ではHDMI登場の背景とその特徴について解説する.  (編集部)

1.HDMIとは

 HDMI(High-Definition Multimedia Interface)は,非圧縮のハイビジョン映像とマルチチャネル・オーディオを劣化のないディジタル方式で伝送できる音声映像系のインターフェースです.2002年12月にリリースされると同時に,多くのテレビやオーディオ機器に採用され,急速に普及してきました(図1).その背景には,ハイビジョン放送(BS,110度CSデジタル,地上デジタルなど)の開始および大容量記録メディア(Blu-ray DiscやHD DVD)の実用化によるハイビジョン・コンテンツの登場,ハイビジョン表示に対応した表示装置(プラズマ・テレビや液晶テレビなど)の普及が挙げられます.コンテンツと表示装置の双方がディジタル化してきたことによって,必然的に,両者を劣化のないディジタル方式で接続したいという要求が高まりました.

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図1 急速に広がるHDMI市場
多様化するHD対応製品群をつなぐHDMI.

 HDMIが登場した当時,従来のアナログ・インターフェースと比べ格段に高い性能と品質は,AV(オーディオ・ビジュアル)機器の熱烈なファンの人々に高く評価されました.HDMIの特徴はそれだけではなく,シンク機器(テレビなどの受信機)からソース機器(DVDプレーヤなどの送信機)を制御するリモコン機能などを導入しました.例えば一部の機器メーカは,これを利用して,○○リンクなどの機能を提供しています.単に映像・音声データを伝送するだけではなく,1本のケーブルで複数の役割を持たせた利便性が,幅広いユーザ層に支持されています(図2)

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図2 ケーブル1本でお手軽リンク
HDMIケーブル1本でディジタル映像信号,マルチチャネル・オーディオ,リモコンなどの制御信号を伝送.

 そもそもなぜHDMIが必要だったのでしょう. ただ,高画質ということだけでいえば,国内ではすでにYPbPr(ハイビジョン対応の表色系)をベースとするコンポーネント端子やD端子が普及していました.ヨーロッパでもSCART端子が普及しており,市場ニーズを満足していたはずです.

 その答えは,ハイビジョン時代を迎えるにあたり,「伝送品質やノイズの影響を受けやすいアナログ」から,「強くて高品位なディジタル」への技術革新が業界全体として望まれていたからです.

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