HDMI登場の背景と概要 ―― 映像インターフェースの推移から学ぶ

柴田 修

tag: 実装 電子回路

技術解説 2008年6月10日

3.ハリウッドが認めた著作権保護方式

 HDMIを語る上で忘れてはならないのが著作権保護機能です.現在,さまざまな著作権保護方式が普及しています.その大半は,映像信号の波形そのものを直接加工してコピーおよび不正視聴を防ぐか,映像信号を加工する代わりにフラグを付与することでコピー管理を行おうとするものでした.以下にその概要を示します.

1)アナログ世代のコピーガード

 アナログ世代の著作権保護方式を例に挙げるとマクロビジョン方式が有名です.これは映像信号のブランキング区間にコピーガード信号を重畳することで,VHSビデオデッキなどに搭載されている輝度処理回路を誤動作させ,ダビングや不正視聴を妨げます.カラー・ストライプ方式と併用することで保護レベルを向上させることもできます.

 そのほかにCGMS-A(Copy Generation Management System-Analog)方式が挙げられます.最近テレビ番組の録画予約の際に「コピー・ワンス」という表示を目にすることが多くなっています.CGMS-Aはコンテンツの世代を管理する技術の一つで,映像信号そのものにコピー世代やコピー可否の管理情報をのせます.この情報によってレコーダ側の録画機能を制約することで許可されていないコンテンツのコピーを防ぎます.

2)ディジタル世代のコピーガード

 ディジタル世代になると,DVD-Videoソフトウェアの複製を防止するCSS(Content Scramble System)やSDカードなどの記録メディアで使われているコピー世代管理のためのCPRM(Content Protection for Recordable Media)が登場しました.さらにi.LINK用にブロック型暗号方式のDTCP(Digital Transmission Content Protection)が開発されたことで,アナログ世代と比べて保護レベルが大幅に向上しました.

 その後,高速ディジタル信号をリアルタイムに暗号化するのに適したストリーム型暗号方式としてHDCP(High Bandwidth Digital Content Protection)が開発されました.HDCPは2000年2月にIntel社によって仕様が公開され,当初はDVIに採用されました.本方式では,ソース機器とシンク機器の間で認証を行い,鍵共有を行います.その後,非圧縮のディジタル・ビデオ信号を暗号化してソース機器から出力し,シンク機器が正しく復号化できているかどうかをソース機器が継続的に確認します.信頼性の高さから,ハリウッドの支持が高く,HDMIに採用されました.

*     *     *

 HDMIは当初,プラズマ・テレビや液晶テレビ,DVDレコーダ,STBなどのディジタル機器を中心に全世界市場で急速に普及してきました.最近では,家庭用ゲーム機やホーム・シアタ・パソコンなど,コンシューマ・オーディオ・ビジュアルの枠を越え幅広い分野に進出しています.

 HDMIは今後,ディジタル・カメラや携帯電話,車載マルチメディア機器など,あらゆるディジタル・オーディオ・ビジュアル機器に採用され,市場が拡大することが期待されています.


しばた・おさむ
松下電器産業(株) システムエンジニアリングセンター

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